Shun — In Season / Peak Season
【Reading】しゅん
【English Name】Seasonal Prime
旬(しゅん)──日本の食文化が育んだ独特の概念で、食材の味わいや品質が年間で最高潮を迎える時期を表す。英語圏には正確な対訳が見当たらず、”in season”程度の近似表現にとどまる。
この言葉には三つの側面がある。一つ目は、季節に先んじて市場へ届く「はしり」(初物)。二つ目は水揚げや収穫の量が最大となる期間、三つ目は食味が最も優れる期間だ。ここで押さえたいのは、漁獲の多い時期と美味しさの頂点が一致するとは限らない点である。繁殖のため沿岸部へ集まる魚は大量に捕れるものの、生殖活動に体力を費やすため身の質が落ちやすい。春場に多く出回るマダイやサワラも、脂の充実度が高まるのは夏場に入ってからだ。
「旬」の字はもともと10日を表す中国語だったが、日本へ伝わったのちに「最良の時節」を指す独自用法へ転じた(国訓にあたる)。江戸期には「初物を口にすれば寿命が七十五日延びる」という俗信が広まり、初鰹をはじめ走りの品が高い人気を集めた。
寿司においてはネタごとの旬を見極める力が、鮮度管理と味の追求に直結する。一方、1970年代を境に乱獲や気候変動が重なり、旬の到来時期に変動が生じてきた。加えて冷凍·冷蔵技術の向上や温室栽培の普及、航空輸送の拡大が進んだ結果、本来の季節感は年々薄まりつつある。






