羽田沖
【讀音】はねだおき
【英文名】Haneda-oki
羽田沖(はねだおき)とは、東京都大田区の羽田周辺に広がる東京湾の海域を指す呼び名。江戸前寿司の世界では、ネタの産地を示す言葉として用いられることがある。
羽田一帯はもともと多摩川の河口域にあたり、元禄·天明の頃(17〜18世紀後半)には葦の茂る広大な干潟が形成されていたとされる。天明年間に地元の名主·鈴木彌五右衛門が相当規模の干潟を埋め立て新田開発を手がけ、「鈴木新田」として1829年に独立した地名となった。東京湾と多摩川に挟まれた立地から、古くから漁業が盛んに営まれた地域でもあり、大正期に飛行学校が開設された際には、地元漁業者が飛行機の騒音によって操業に支障が出ると訴えた記録が伝わっている。
しかし昭和以降、羽田空港の建設と繰り返される埋め立て拡張工事によって、かつての漁場の多くは空港用地へと転換された。現在の空港敷地の総面積はおよそ1,522ヘクタールに達する。寿司店で「羽田沖」という産地名が語られるとき、それは東京湾の豊かな漁場としての歴史を背景に持つ言葉である。


