發酵
【讀音】はっこう
【英文名】Fermentation
発酵とは、微生物や酵素の働きかけによって有機物が化学変化を起こす現象を指す。英語では動詞形として ferment という語が使われ、これはラテン語 fervĕre(沸騰する·泡立つ)を語源に持つ。
寿司の世界において、発酵は切り離せない根幹要素のひとつだ。寿司の起源とされる熟れ鮨(なれずし)は、魚と米飯を一緒に漬け込み、乳酸菌が引き起こす発酵作用によって保存性を獲得した食品である。冷蔵技術が存在しなかった時代に魚を長く保つ生活の知恵として各地に根付き、現在も滋賀県の鮒寿司や和歌山のさんま寿司などに伝統的な形が受け継がれている。
寿司に欠かせない米酢もまた、酢酸菌の発酵プロセスを経て生まれる産物だ。醤油や味噌も同様で、麹菌·乳酸菌をはじめとする多種多様な微生物が連携して仕上げる発酵食品に分類できる。
生化学の視点から整理すると、発酵は酸素を必要とせず炭水化物からエネルギーを取り出す代謝経路として位置づけられる。乳酸発酵ではグルコースが乳酸へと転換され、食品に酸味と保存力が生まれる。アルコール発酵ではエタノールと二酸化炭素が産生され、酒類の醸造工程で広く活用される。
人類が新石器時代からこの仕組みを食品加工へ応用してきたことは各種研究が示すところであり、寿司文化の土台にも発酵の長い歩みが深く刻まれている。


