八重造
【讀音】やえづくり
【英文名】Yae-zukuri
八重造り(やえづくり)は、刺身における伝統的な包丁技法のひとつ。平造りをベースとし、一刀おきに刃を身の途中まで入れてから、次の一刀で切り離す手法である。切り身に浅い切れ込みが残るのが特徴で、「切りかけ造り」「二枚包丁」とも呼ばれる。
この技法が特に活きるのは、皮付きのまま提供する魚である。サバ·カツオ·アジ·イワシ·サゴシなど、皮がやや硬く身が柔らかい青魚系の食材に多く用いられる。シマアジやカンパチなど銀皮の残る魚にも適しているとされる。
切れ込みを入れることには実用上の利点がある。硬い皮に刃が通ることで歯切れが良くなり、噛み切りやすくなる。加えて、切り目から醤油が浸透しやすくなるため味なじみも向上する。皮と身の間にある脂や旨味を逃がさず楽しめる点も大きい。
寿司店では、しめ鯖の飾り包丁としてこの技法がよく見られる。身が柔らかい鯖は崩れ防止のためやや厚めに切る必要があるが、八重造りの切れ込みにより食べやすさと見栄えを両立させている。


