乳酸發酵
【讀音】にゅうさんはっこう
【英文名】Lactic Acid Fermentation
乳酸発酵とは、酸素のない環境下で微生物や動物の細胞が糖を分解し、乳酸を生み出す代謝反応のことである。化学的にはグルコース1分子から2分子の乳酸が生じる。
寿司の歴史において乳酸発酵は極めて重要な役割を担う。なれずしは、塩漬けにした魚を飯とともに漬け込み、乳酸菌が生成する乳酸で酸味と保存性を獲得した食品であり、現在の握り寿司の原型とされる。滋賀県の鮒寿司はその代表的な例である。
乳酸菌は発酵の様式によって大きく二つに分類される。乳酸だけを最終産物とするホモ乳酸菌と、アルコールや酢酸なども同時に生み出すヘテロ乳酸菌である。なれずしの複雑な風味には、こうした多様な発酵産物が関わっていると考えられている。
乳酸発酵は漬物やヨーグルト、ザワークラウト、メンマ、甘酒など世界各地の食文化に幅広く活用されている。生成された乳酸が周囲の環境を酸性に変えることで腐敗菌の繁殖を抑制し、保存性を高める点が共通した特徴である。日本酒の生酛造りにおいても、乳酸菌による酸性化を利用して雑菌の増殖を防ぐ工程が存在する。


