白象拔蚌
【讀音】しろみるがい
【英文名】White geoduck
寿司カウンターで「貝」を頼むと大半の店が握ってくる二枚貝――それが白ミル貝だ。正式和名はナミガイ、分類はキヌマトイガイ科に位置する。かつては高級貝である本ミル(ミルクイ)の代替として流通が広がったが、固有の甘みと心地よい歯応えが食べる者を虜にし、代替品の域を超えた独自の立場を築き上げた。
国内の主な産地は東京湾(千葉県)·播磨灘(兵庫県)·周防灘(山口県)·三河湾(愛知県)など各地に分布する。水産市場へは活殻付きのまま流通するのが一般的だ。回転寿司チェーンや大量仕入れを前提とする業態では、カナダ産アメリカナミガイが主力食材として定着している。
食用部位は長く張り出した水管で、皮を除いて湯引きしてから刺身や握りに仕立てるのが基本的な下処理だ。白く透明感をたたえた身は視覚的にも映え、コリコリとした歯触りが口の中に印象を刻む。本ミルに比べると風味はやや控えめながら、雑味のなさが幅広い年齢層や嗜好の客に受け入れる間口を広げている。20世紀末以降は出荷量で本ミルを大幅に凌駕し、今日の寿司店で貝を注文すればほぼ確実にこの白ミルが握られて卓上に届く。


