蝦夷前(北海道風格)
【讀音】えぞまえ
【英文名】Ezo-mae
蝦夷前(えぞまえ)は、北海道産の魚介を主体とした寿司の呼称で、江戸前(えどまえ)と対をなす形で使われる表現だ。
「蝦夷」という語はかつて「えみし」と訓じられており、大和朝廷の時代から東北以北に住まう人々や地域を示す言葉として用いられてきた。「えぞ」という読みが広まったのは11〜12世紀に入ってからのことだとみられている。明治2年(1869年)、探検家の松浦武四郎が政府に複数の改称案を提出し、そのうち「北加伊道」案をもとに「北海道」の名が採用された。
江戸前寿司が酢締め·煮切り·昆布締めなど「仕事」と呼ばれる下処理を重視するのに対し、蝦夷前はネタの鮮度をそのまま活かす握り方が特徴とされる。ウニ·イクラ·ホタテ·カニ·サケといった北海道の代表的な海産物が中心的なネタとなる。
「蝦夷前」という語は比較的新しい表現であり、伝統的な寿司用語として古くから根付いていたわけではない。北海道の豊富な水産資源を背景に、江戸前との対比から自然に生まれた呼び方とみることができる。


