細卷
【讀音】ほそまき
【英文名】Hosomaki
一本の巻物に盛り込む具材はたった一種。このシンプルさこそが細巻き最大の特徴だ。直径およそ3cmという引き締まった円筒形は、板海苔を半分に断ち、巻き簾で酢飯とともに成形して生まれる。江戸前の巻物のなかでも長い歴史を刻んできた存在で、とりわけかんぴょう巻はその最古参にあたる。江戸時代の寿司屋で「海苔巻き」と注文した場合、黙ってかんぴょうの細巻きが出されたという逸話が残るほどだ。
切り方にも独自の作法がある。かんぴょう巻は半分に断ってからさらに半分、合計4切れ。他の細巻きは6切れに仕立てるのが慣行だ。
代表的な種類:
- 干瓢巻き(かんぴょうまき)― 甘辛く煮た干瓢を中心に据えた一本。「鉄砲巻き」の別称でも通じる
- かっぱ巻き ― 具材はきゅうりのみ。河童が好んで食べるという伝承が名の由来
- 鉄火巻き ― まぐろの赤身を中央に配置。断面の鮮やかな赤が焼けた鉄を連想させることから、この呼称が定着したとの説が残る
- 納豆巻き ― ひきわり納豆を巻き込んだもので、青紫蘇を一緒に入れる店も目立つ
- 新香巻き ― 沢庵漬けを中に収め、胡麻を振りかけて仕上げる例もある
海苔の黒に包まれた細く長い外見が鉄砲を想起させ、「鉄砲巻き」の通称もここに由来する。片手で気軽につまめる点が江戸の庶民に好まれ、巻き寿司の原型と位置づけられる存在だ。


