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茶巾寿司とは?茶巾寿司の歴史やレシピ、名店までを紹介!

長い歴史を誇る寿司は地域ごとに特徴があり、江戸前のにぎり寿司以外にも多くの寿司があります。

そのうちのひとつが「茶巾(ちゃきん)寿司」。
ハレの日にピッタリなかわいい見た目のお寿司ですが、茶巾寿司と聞いても知らない人もいるかもしれません。

今回は茶巾寿司とはどんなお寿司か、茶巾寿司の歴史やレシピ、名店などを紹介します。

茶巾寿司とは

茶巾寿司とは

「茶巾寿司」とは、うすく焼いた錦紙玉子で、酢飯を包んだ包み寿司の一種で、「巾着寿司」「袱紗(ふくさ)寿司」とも呼ばれます。
茶巾寿司の中に包まれる酢飯は、魚介のほか、椎茸、胡麻などの海と山の幸の両方を使った五目寿司であることが多いですが、地域やお店によって中に詰められるものは異なります。

茶巾寿司の中身はお店によって異なりますが、茶巾寿司発祥のお店として知られる「有職」の茶巾寿司の中身は、ゴマや細かく刻まれた魚介類などをまぶした酢飯の中に栗が入っており、比較的薄味で上品な味わいになっています。
また、縛るのに使う紐も昆布やかんぴょう、三つ葉など店によって様々です。

ちなみに茶巾寿司の「茶巾」とは、茶道の茶碗をふく布のことで「茶巾絞り」とは、布などで物を包んで絞った形のものをいい、和菓子などでも使われる手法です。

茶巾寿司
茶巾寿司(有職)の中身

宮廷でうまれた茶巾寿司の華やかな歴史

宮廷でうまれた茶巾寿司の華やかな歴史

茶巾寿司の始まりは大正12年。
伏見宮家に奉職していた御膳所包丁人の小原義太郎が、茶席で薄焼き卵を茶巾に見立てた寿司を供し、好評を博して宮殿下から「茶巾」という名を賜ったのが始まりとされています。

その後の昭和8年、小原義太郎は東京の赤坂に茶巾寿司や粽(ちまき)寿司などを専門とする「有職」を創業。
昭和天皇の料理番の秋山泰造氏とも親しかったことなどもあり、宮内庁に茶巾寿司や粽寿司を提供し、茶巾寿司といえば有職といわれるほど、茶巾寿司の名店として知られることになります。

当初、「茶巾寿司」という名称は商標でしたが、茶巾寿司を広めたいというお店の想いから、商標登録をやめたそうです。
「登録商標 茶巾寿司」と書かれた当時の看板は現在も残されていますが、なんとも粋なエピソードですね。

おいしい茶巾寿司のレシピ

おいしい茶巾寿司のレシピ

茶巾寿司には地域や家庭によってさまざまなアレンジ方法がありますが、基本の作り方はこちらです。

一見むずかしく見える茶巾寿司ですが、市販の五目寿司やちらし寿司の素などを使えば簡単に作ることができます。
ポイントはきれいに玉子を焼くことと、折り目をきれいに包むことです。

<茶巾寿司の基本レシピ>

  1. 酢飯を用意します(酢飯の作り方はこちら。市販の酢飯の素を使ってもOK)
  2. 卵を溶きほぐして砂糖・だし汁・塩を入れ、静かによく混ぜます。
  3. 同量の水で溶かした片栗粉を加えて混ぜ、フライパンに薄く敷いて焼き、表が乾いたら裏を焼きます。
  4. 皿の上などで卵を冷ました後に酢飯を包みます。
  5. 包んだ卵の上部を絞り、昆布やかんぴょう、三つ葉などなどで縛ります(縛らなくてもOK)。

詳しいレシピはこちらでも見ることができますので、ぜひ参考にして素敵なおうち茶巾寿司を作ってくださいね。

心躍る春色のお寿司♪茶巾寿司のつくり方

みつばを使った可愛らしい茶巾寿司のレシピです。
作り方も動画でわかりやすく説明されています。

【おうちで料亭ごはん】Vol.14 いづう/茶巾寿司

料亭が素人でも作れるように説明している本格的な茶巾寿司のレシピです。
絞らない四角いタイプで、穴子の焼き方など具材の扱い方も説明してくれます。

いますぐ茶巾寿司を食べたい!有名な茶巾寿司のお店をご紹介

いますぐ茶巾寿司を食べたい!有名な茶巾寿司のお店をご紹介

上方のイメージが強い茶巾寿司ですが、発祥は東京のお店であるため、有名店のほとんどは東京にあります。
ここでは茶巾寿司を美味しく食べることができるお店を紹介します。

【東京・赤坂】茶巾寿司発祥の店・ 有職(旧福槌)

茶巾寿司の歴史でも紹介した茶巾寿司発祥のお店として知られる老舗です。
「有職」という名前は創業者が宮廷仕えだったことから、朝廷や公家が行う行事やそれらをを研究する学問を指す「 有職故実 (ゆうそくこじつ)」という言葉にちなんでつけられました。
さまざまな困難を乗り越え、現在も伝統の味を守りながら開業している茶巾寿司の名店で、茶巾寿司を食べるならまずは訪れたいお店です。

トップ画像で使われてるのが有職さんの茶巾寿司。2023年10月現在、値段は茶巾寿司が1個843円、伏見(小さな茶巾)が2個1,037円です。
百貨店などのデパートでは、伊勢丹 新宿本店、小田急百貨店 新宿本店、玉川高島屋S.C店、三越日本橋本店で提供されているほか、公式サイトのオンラインなどでも販売されています。

店名:茶懐石寿司の有職(旧福槌)
住所:〒107-0052 東京都港区2丁目 港区赤坂2丁目2−21 永田町法曹ビルB1
電話:0335607577
HP:https://www.akasaka-yusyoku.com/
https://maps.app.goo.gl/NVpb9GS6pqx3EUAp9

【東京・四谷】大阪鮓 八竹(はちく)

「八竹(はちく)」は、茶巾寿司が世に出たとされる翌年の大正13年に開業された老舗。
持ち帰り専門で茶巾寿司と大阪寿司を専門としている茶巾寿司で有名なお店です。
以前は新宿タカシマヤなどのデパートや築地にもありましたが、現在は四谷の本店のみ。
2023年10月現在、値段は茶巾ずしが1個600円、箱ずし1人前 1,780円、それ以外にも多くの関西寿司を提供しています。

店名:大阪鮓 八竹(はちく)
住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷3丁目11 八竹ビル 1階
電話:0333518989
HP:https://yotsuya-hachiku.co.jp/
https://maps.app.goo.gl/ZoZL7TtW4VnZme5A7

【大阪・大阪市】吉野鯗(ずし)

吉野鯗は天保12年に創業された箱寿司や茶巾寿司専門の大阪の老舗店です。
美味しんぼにも出たことがあるお店で、2階が飲食席になっており、大阪で茶巾寿司を食べたい場合はこちらが便利。
なお、飲食席はコロナなどで閉鎖されてることがあるので、来店前に確認が必要です。
2023年10月現在、値段はいなり茶巾850円、穴子いなり茶巾1,150円などのセットが提供されています。

店名:吉野鯗(ずし)
住所:〒541-0047 大阪府大阪市中央区淡路町3丁目4−14
電話:0662317181
HP:https://www.yoshino-sushi.co.jp/
https://maps.app.goo.gl/hAFLSC1v3uTg1x2B8

【全国チェーン】京樽 茶きん鮨

仙台から岡山までの全国チェーンで知られる京樽では、茶巾寿司を「茶きん鮨」という名称で、看板商品として販売しています。
薄焼き玉子で包まれた中身は、刻み穴子、ゆず、かんぴょう、しいたけ、きくらげなどを混ぜ合わせた酢飯です。
2023年に実施された「90周年 大感謝祭」では、通常より小さい「姫茶きん鮨」が90個入った「感動姫茶きん鮨」なども販売しており、思い入れの強さが伝わってきます。
2023年10月現在、値段は茶きん鮨が1個220円、京樽伝統の茶きん鮨が1個250円とリーズナブルな価格が魅力です。

店名:京樽株式会社
HP:https://www.kyotaru.co.jp/

参考資料