江戸前の仕事
【よみ】えどまえのしごと
【English Name】Edomae Preparation Techniques
「江戸前の仕事」とは、寿司職人がネタに施す下処理や調理技法の総称を指す。冷蔵設備のなかった江戸時代、魚介の鮮度を維持しつつ旨味を高める工夫として発達した。
代表的な技法として、主に以下の五つが知られている。
- 酢締め:コハダやサバ、キスなどに塩と酢を用いて保存性と風味を向上させる
- 漬け(づけ):マグロの赤身を醤油ベースの調味液に浸し、旨味と香りを加える
- 煮る:アナゴやハマグリなどを甘辛い煮汁でじっくり火を通す
- 昆布締め:ヒラメなど白身魚を昆布で挟み、旨味を移しつつ水分を抜く
- 茹でる:エビなどを湯通しして仕上げる
さらに、握りに「煮切り」(醤油に味醂を合わせて煮立てたもの)を刷毛で塗って提供するのも仕事の一環である。これらの手法は保存目的にとどまらず、素材の味わいを凝縮・変化させる効果を持つ。現代では生のまま握る店も多いが、伝統を重んじる江戸前寿司店では今なお仕事を施したネタが供されている。


