重石
【よみ】おもし
【English Name】Weight Stone
重石(おもし)——「おもり(重り・錘)」や「鎮(しず)」の別名でも知られるこの道具は、自重が生み出す圧力を活用して対象物を押さえ込む用途に供す。
寿司との関わりで特筆すべきは、押し寿司の成形工程だ。バッテラや箱寿司を仕立てる際、木型にシャリとネタを詰めた上面へ重石を据え、全体に均等な力を行き渡らせて美しい形状を生み出す。この手順こそ押し寿司づくりの核心といえる技術であり、重石なしには成り立たない。
加えて、寿司店でのガリ(甘酢生姜)をはじめ各種漬物の仕込み工程も重石の出番だ。上方から荷重をかけることで素材内部の水気を外へ追いやり、同時に外気との接触面を狭める効果を得る。材質は河原の天然石から、金属芯を樹脂の外殻で包み込んだ加工品まで多彩で、品目や漬け込みの進行度合いに合わせ重量を切り替えるのが鉄則だ。
味噌醸造の場面でも発酵の促進に重石は必須とされ、日本古来の発酵食文化を根底から支えてきた存在にほかならない。


