ヅケ / 漬け
【よみ】づけ
【English Name】Zuke / pickled in soy sauce
醤油を主体としたタレに魚介の身を浸す——これがヅケの基本だ。冷蔵・冷凍の手段が十分に整っていなかった頃、鮮度を守る保存法として生み出された技法にあたる。
握り寿司の登場以前、魚の漬け込みは塩と米を用いた「なれずし」に代表される系統が中心だった。握り寿司の普及に伴い、出汁醤油への漬け込みが広く定着していった。
タレの構成要素は醤油・昆布・酒・みりんなど。手順の一例を紹介すると、酒を合わせた醤油の中へ薄く切った魚と昆布を層状に重ね、10〜15分程度寝かせて仕上げる。昆布のうまみをいっそう引き出したければ、事前に醤油へ昆布を沈めて香りを含ませておくのが有効だ。
マグロが最もなじみ深いネタだが、カツオやサンマ、アジなど赤身の魚全般に応用が利く。独特のくさみを持つ魚に対しては、ショウガ・ニンニクといった薬味で香りを整えるのもよい。
郷土の味として名高いのが伊豆諸島の「島寿司」で、ヅケを活かした寿司の好例だ。海外に目を向ければ、ハワイの「ポケ」はごま油や醤油で魚を和えるスタイルで、ヅケに通じる一品として親しまれている。
今日ではもっぱら素材にうまみを行き渡らせる味付け技法として定着し、保存を目的に用いる場面はほとんどない。漬け込んだ魚は一晩以内——できれば数時間程度——のうちに食すのがよいとされている。


