熱燗
【よみ】あつかん
【English Name】Atsukan (Hot Sake)
熱燗(あつかん)は、日本酒を約50℃に加温した状態を指す呼称で、「適燗(てきかん)」とも呼ばれる。徳利で供する場合は、湯気が立ちのぼる程度の温度が目安とされている。
日本酒の飲用温度には細かな呼び分けがあり、30℃前後の「日向燗」から55℃超の「飛び切り燗」まで段階的に名称が設けられている。熱燗はその中でも高温寄りに位置する。酒類総合研究所の分類によれば、加温するほど香りが強まり辛口に感じられるようになるという。一方、甘みは温度上昇とともに増すとされる。
酒を温めて飲む文化は平安時代まで遡り、『延喜式』には燗用の土熬鍋が記されている。「燗」の字は室町期に「間」と書かれ、冷温の中間にする意味で用いられた。火偏が加わった現在の表記は明治期に成立したとされる。江戸の文化文政期を境に、季節を問わず燗酒を楽しむ習慣が定着した。
寿司店では、ひれ酒や骨酒に熱い燗酒を注ぎ、魚の旨みを抽出する飲み方が知られる。燗に適した酒質は味の厚みがある純米酒や本醸造酒とされ、香りを重視する大吟醸や鮮度が特徴の生酒には不向きとされている。


