イノシン酸
【よみ】いのしんさん
【English Name】Inosinic Acid
イノシン酸(IMP)は、うま味を生み出すヌクレオチド類に属する化合物だ。ヒポキサンチンとD-リボース、リン酸を骨格とする有機化合物であり、肉類や魚介類に豊富に存在する。
寿司文化においては、かつお節のうま味を担う中心的な成分として欠かせない存在である。イノシン酸のナトリウム塩は核酸系うま味調味料として広く使われており、工業生産では酵母由来のRNAを出発原料として酵素的に合成される。
だし抽出には軟水が向くといわれがちだが、水の硬度を変えて行った比較実験では、硬水の方がむしろ抽出量が増加したとの報告が存在する。ただし、味の好ましさを問う官能評価においては、硬度の違いによる有意な差は確認されなかったとされる。
昆布だしに豊富なグルタミン酸と組み合わせると、うま味が相乗的に高まることは広く知られた現象だ。寿司では昆布だしを用いたシャリと、魚介ネタが持つイノシン酸が一体となる構成が成立しており、この相乗効果を自然な形で引き出した好例として挙げられる。


