大根ずし
【よみ】だいこんずし
【English Name】Daikon Zushi
大根ずしは、金沢市や白山市(旧鶴来町周辺)など石川県に根ざした発酵寿司の一種で、なれずしの系譜に連なる。大根と身欠きニシンを米麹で発酵させた正月料理として、この地域の食文化に深く刻まれてきた。
仕込みの手順を追うと、まず身欠きニシンを米のとぎ汁に浸して一晩かけて柔らかく戻す。うろこを丁寧に処理したのち、数センチ幅にカットして酒に漬ける。一方、大根は皮をむかずに厚さ2cm程度の輪切りにし、側面へ切れ目を入れてそこにニシンを差し込む。米麹・細切り人参・昆布・鷹の爪などを加えて漬け込む工程は主に11月から1月にかけて行われる。昔ながらの漬け方では仕込みから3日で乳酸菌が急速に増え、15日を過ぎるとアミノ酸が豊富になってうま味が一段と増すといわれてきた。
同じ石川県の加賀地方を代表する発酵寿司であるかぶら寿司と比較した場合、大根ずしは身近な食材で仕込める点が際立つ。かぶら寿司が贈答品として珍重されてきたのに対し、大根ずしは各家庭で日常的に食べられてきた庶民の味という側面が強い。なお、飛騨地方北部(岐阜県)にも同名の料理が伝わっているものの、大根を細かく刻んで揚げ豆腐と組み合わせるその製法は石川県のものとは大きく異なっており、起源も系統も別の郷土料理として位置づけられている。


