血抜き
【よみ】ちぬき
【English Name】Blood Draining
寿司や刺身に用いる魚介の品質を決定づける要素のひとつに、血液の除去——血抜きがある。鮮度と風味の双方に深く関わり、プロの調理場で欠かせない技術だ。
魚体に残った血液は時間の経過とともに酸化が進み、独特の生臭さを発生させる。加えて血液は細菌繁殖の温床となり、身の劣化を加速させる要因にもなる。適切に放血を行えば、身は透明感のある美しい色合いを保ち、鮮度の維持に直結する。
標準的な方法は、活け締めの際に延髄近くや尾の付け根へ刃を入れて放血させるやり方だ。活け締め自体は江戸時代初期の日本が発祥で、脳を瞬時に破壊した魚から速やかに血を抜き、長時間の鮮度保持を可能にした伝統技法として脈々と継承された。
近年は津本式と名付けられたホース活用型の血抜き手法が注目を集め、魚の長期熟成を可能にした技術として幅広く支持を得た。
筋子を仕込む際にも放血の手順は欠かせず、約2%の食塩水へ浸しながら指腹で丁寧に押して血を除く工程を経る。寿司のネタの完成度を根本から左右する基礎技術であり、職人の実力が端的に現れるポイントだ。


