腹骨
【よみ】はらぼね
【English Name】Belly bones
寿司・刺身の下ごしらえで欠かすことのできぬ処理対象が、腹骨(はらぼね)だ。魚体の肋骨を寿司や和食の世界ではこう呼び、脊椎の腹椎部分から弧状に腹側へ広がって内臓を覆い包む骨格を指す。
三枚おろしが済んだ段階で、この腹骨を取り去る作業に入る。「腹骨をすく」技法では、刃先を骨の面に密着させながら薄く身を切り離していく繊細な包丁運びが不可欠だ。加えて、毛抜きによる血合い骨の抜き取りも同時に施す。骨まわりの処理精度こそが、刺身の舌触りや仕上がりの質を大きく左右する。
解剖学的に見ると、肋骨が存在するのは頭寄りの腹椎領域に限られ、肛門から後方の尾椎エリアには分布しない。尾椎側の腹面には、肋骨に代わって血管弓という別の骨格構造が発達する。
コイ科に代表される淡水魚では、腹骨に加えてY字型の筋間骨(小骨)が身のあちこちに入り込むため、骨の処理に格段の手間がかかる。一方、寿司店が主に扱う海水魚の場合は筋間骨の数が少なく、腹骨・血合い骨さえ丁寧に取り除けば、骨を意識せず口に運べる。


