信太ずし
【よみ】しのだずし
【English Name】Shinoda-zushi
稲荷寿司の別称のひとつ。油揚げを甘辛く煮て酢飯を詰めた寿司を、「しのだずし」と呼ぶことがある。
名称の由来は、大阪府和泉市の信太の森に伝わる狐の伝説にある。陰陽師・安倍晴明の母が信太の森に棲む白狐だったとする「信太妻」の説話は室町時代に成立し、歌舞伎や浄瑠璃でも広く親しまれた。狐の好物が油揚げだという俗信から、油揚げを使った料理全般を「しのだ」と称する慣習が生まれたとされる。この呼び方は京都や大阪など近畿地方で特に定着している。
江戸末期の風俗資料『守貞謾稿』には、天保末年(1844年頃)の江戸で油揚げに飯を詰めて売り歩く寿司が「稲荷鮨」あるいは「篠田鮨」と記されており、どちらも狐に由来する名とされている。東京で古くから営業する稲荷寿司専門店「志乃多寿司」の屋号にも、この呼称が残っている。
「しのだ」の名は寿司に限らず、油揚げを用いたうどん(しのだうどん)や信太巻など、幅広い料理に使われている。


