守貞漫稿
【よみ】もりさだまんこう
【English Name】Morisada Manko
江戸時代後期に編まれた風俗百科で、正式には「守貞謾稿」と表記される。著者の喜田川守貞(1810年大坂生まれ)が天保8年(1837年)に執筆を開始し、約30年の歳月をかけて全35巻の大著を仕上げた。
京都・大坂・江戸の三都における生活文化を比較しながら記録した点が大きな特徴で、約1600点もの挿図を備える。内容は住居・服飾・貨幣・芸能・遊戯など多岐にわたるが、寿司文化の研究においては「生業」(巻之五〜六)および「食類」(後集巻之一)の項目が重要である。これらの巻では食材・料理・食器について図解とともに精緻な説明が収められている。
守貞自身は商人であったが、生涯を意味なく終えることを惜しみ、庶民の暮らしを書き残す志のもとで筆をとったとされる。存命中には刊行されず、明治期に入って初めて活字化された。1908年に國學院大学出版部から『類聚近世風俗志』の題で世に出たほか、岩波文庫版(全5巻)などが現在入手可能である。近世の食文化や寿司の歴史を学ぶうえで不可欠な一次資料として高く評価されている。


