「くら寿司」グローバル展開を加速。海外初の旗艦店を台湾高雄にオープン
回転寿司チェーン「くら寿司」は、5月に新たなグローバル展開戦略の一環として、台湾の高雄市に初の海外旗艦店を開設した。これは同チェーンの台湾での51番目の店舗であり、広大な2,000坪(6,612平方メートル)の面積と288席の座席数を誇る世界最大のくら寿司である。
店舗設計はアートディレクター、佐藤可士和氏によって手がけられ、和風ランタンが100個飾られるなど、和の雰囲気を味わえる空間が展開され、訪れる人々が観光と食事の両方を楽しむことができるように、「SightEating(サイトイーティング)」という新たなコンセプトが取り入れられている。
くら寿司の海外展開と台湾市場における成長の可能性
くら寿司は、2014年に台湾市場に進出し、目標としていた50店舗の開設を達成した。
その成果を受けて、今回、新たな海外旗艦店の開設を決定したのであるが、台湾の観光業や飲食業が活気づいていることを踏まえ、くら寿司は台湾市場における更なる成長の可能性を見出したといえる。
また、くら寿司は東京と大阪に4つのグローバル旗艦店を展開しており、アメリカに46店舗を展開。さらに、今年中に上海にも初の店舗をオープンする予定だ。同社は明確な戦略として、海外展開を積極的に進め、2030年までに海外店舗数を現在の400店舗まで増やすことを目指している。
台湾における新店舗は、COVID-19の制限にもかかわらず多くの海外レストランが撤退する中、くら寿司が台湾市場に見込んだ大きな可能性を具体的に示すものとなっている。一皿の価格帯は40元(約180円)と60元(約240円)日本と比べて60%程度高いものの、行列が絶えないくらい人気があり、同社の売上に大きな貢献をしている。
地域性とエンターテイメントの融合:新店舗の試みと将来への展望
新店舗では地元限定のメニューも用意され、来店客にとって新たな驚きや楽しみを提供している。限定メニューは「白玉金時最中餅」、「軟殻蟹天婦羅海苔巻き」など、地元の味覚を取り入れた創作寿司やデザートが多く、ここでしか味わえない美味しさが客を引きつける。
高雄店では、さらに店内のゲームコーナーで祭典の券をガチャガチャから手に入れ、限定の和風ギフトを獲得することも可能だ。「招財貓コースター」や「和風ショッピングバッグ」など、ゲームを通じて得られるギフトが、来店者にとって新たな魅力となり、食事だけでなくエンターテイメントとしての楽しみも提供している。
さらに、提灯が並ぶエントランスや、江戸時代の食事風景を現代風にアレンジした店内デザインは、日本の伝統文化と現代建築の特徴を融合させ、訪れる人々にとって新たな体験を提供している。
くら寿司の海外展開と寿司文化の普及
こうした新しい試みは、既存の飲食業態にとらわれず、新たな形で寿司文化を海外に広めることを目指したくら寿司の挑戦だ。日本の伝統的な食事スタイルを継承しつつも、地元の文化や食材を取り入れたメニュー開発、店舗内でのエンターテイメント提供など、地域性を重視した展開は、台湾市場だけでなく、今後の海外展開全体の成功につながる可能性を秘めている。
この新たな旗艦店のオープンは、くら寿司が海外での知名度と人気をさらに高める重要な一歩となるだろう。
今後の台湾における寿司文化のさらなる浸透に期待したい。