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寿司職人への道1- 寿司職人になる三つの方法

寿司を握る寿司職人

寿司の知名度が外国にも広がり、その知名度は年々高くなっており、寿司を知らない外国人はいないほどです。
しかし一方、職人のほうはなり手不足でその数が足りず、需要は上がっていることをご存知でしょうか?

寿司職人になるには、それぞれの方法の特徴を掴み、自分に最も適した方法を選んで修業を始めることが大切です。
ここでは、「寿司職人になりたい」または、寿司職人に興味がある人のために寿司職人になる方法について解説します。

方法1:寿司屋で見習いとして働く

多くの人が思いつく方法ですが、寿司屋で見習いとして働くのが最もオーソドックスな方法といえるでしょう。

寿司屋といっても、個人経営の店もあれば大型チェーン店もあり、業態も高級寿司や回転寿司、宅配寿司など様々です。値段も店によって異なるので、どのような店が最も修業に適しているのか、一概に決めるのは難しいところです。

一般的には、高級店で修業するのが一番好いと言われています。高級店ほど、高度な技術や貴重な食材の扱い方を学ぶことができるからです。しかし、高度な技術ほど、習得するのに長い年月がかかると考えなければなりませんし、入店自体も難しくなるでしょう。

働くために必要な条件はお店次第なので、自分にあった条件なのか、飲食の求人サイトを見たり、直接店に問い合わせてみるのがよいでしょう。

寿司屋で修業するメリット

  • 給料を貰いながら技術を覚えられる
  • 技術だけではなく、実際に店を経営するノウハウを学べる
  • プロとしての自覚を持ちやすい
  • 接客の仕方を学ぶことができる

寿司屋で働くメリットはなんと言っても、給料をもらいながらいろんなことを教えてもらえるということでしょう。
手取り足取り教えてもらえなくても、仕入れや仕込み、接客、お店の仕組みなど、一連の流れを内側から見ることができるだけでも十分にためになります。

一流店であれば、そのお店で学んだこと自体がブランド価値がありますので、開店時に優位に働くでしょう。また、関係性がよければ独立した時に暖簾分けという形などで応援してもらえたりすることもあります。

こうした寿司屋で働いた時に得れる情報はは後から教えてもらうのは非常に難しく、寿司屋を開店するつもりの人はお店にいる間は詳細にメモをするなど、しっかり研究しておくことがオススメです。
ポイントは給料にこだわらないこと。なんでもそうですが、特に技術職では最初の給料はどの職業も安いので、何を学べるかという点に絞って考えるのが一番大事です。

寿司屋で修業するデメリット

  • 技術を学ぶのに長い期間を要する
  • 自分の時間をとりづらい
  • 肉体的または精神的に負担を感じる可能性がある

修業期間については後述しますが、1年や2年ですぐにお客の前で寿司を握れるようになるわけではありません。
高級店ほど様々な点で苦労する傾向があり、最初は雑用から始まり、食材をまともに触らせて貰えるようになるだけで、数年かかることも少なくないそうです。これは寿司の世界に限らず、技術職全般に言える事ですが、上下関係が厳しく、体育会系の雰囲気が強い店も多いので、慣れない人は一人前になるまでかなり苦心することになりそうです。

働く店を選ぶ際に気をつけたいポイント

  • 待遇面
  • どのような寿司、一品料理を学べるか
  • 店長、先輩はどんな人が働いているか

職人は厳しい世界です。その道に入る事は容易でも、一人前になれるのはほんの僅かな人だけと言われています。
一人前になるために情熱も大切ですが、自分のペースで続けられなければ意味がありません。自分が少しでも長く続けられそうだと思う店で働くことがポイントといえるでしょう。

方法2:寿司の専門学校に通う

寿司屋における修業以外では、寿司職人の専門学校に通う方法があります。少しでも早く寿司を握れるようになって海外で働きたい、自分でお店を開きたい、大型チェーン店で効率よく働きたいという人に向いています。

昔は寿司職人になるために専門学校に行くという選択肢はありませんでしたが、今は時代の推移とともに専門学校の数も増え、質の高い授業を受けられるようになっています。講師は経験者や現役のプロがほとんどで、実践的な技術を学ぶことができます。

寿司の専門学校に通うメリット

  • 卒業まで時間がかからない
  • 最初から寿司を握る練習ができる
  • 同期が多く、切磋琢磨しやすい環境
  • 就職に有利
  • 怒られにくい

あらかじめ授業が決められており、カリキュラムに沿って授業を進めていくため、現場で働くよりプレッシャーを感じにくい傾向にあります。授業は寿司を握れるようになることがメインで合理的に技術を学べます。技術の習得や、就職について学校がフォローしてくれることもポイントですね。

また、学校によって多少方針は違いますが、基本的にはお金を払って教えてもらうので、働きながら学ぶ場合より怒られるということはほとんどないので、精神的にはかなり楽といえるでしょう。
卒業後は有名店は厳しいかもしれませんが、大手チェーン店や回転寿司などで採用されやすくなるので、学校で学んだ後に実際のお店で少し働いてから、自分のお店を開くというのも一つの方法です。

寿司の専門学校に通うデメリット

  • 学費が必要
  • 卒業後、即戦力になれるわけではない

学校に通うわけですから、もちろん学費がかかってしまいます。専門学校の学費の相場は約3カ月コースで50万円前後と言われています。

また、他の専門学校と同様、学費を払って学んでもすぐにプロになれるわけではありません。学校によっては寿司屋への就職斡旋を行っているところもありますが、卒業しても基礎的な技術と知識を学んだだけですので、実際に就職したりお店を開いたりするには、自分で試行錯誤する必要があります。

方法3:独学で寿司を学ぶ

えっ寿司を独学で??と思う方が多いと思いますが、実は海外ではかなりよくこの方法が用いられます。

昔は寿司職人になるための情報を得るのは非常に難しかったのですが、現在ではYouTubeを始め、インターネット上で様々な寿司の握り方や魚の捌き方などの動画があり、技術を実際に見ながらじっくり学ぶことができます。また、寿司の技術に関する本もかなり多く出ているので、ある程度独学で学ぶことができる時代になっているのです。

実際に筆者もアジアで口コミ評価の高い寿司屋へ行ったのですが、その時にどこで修行したか尋ねたところ、YouTubeで勉強して、あとはいろんな日本人の高級店に行って味や必要なことを研究したと言っていました。その方は現地の方でしたが、味も評判通り美味しくびっくりした記憶が残っています。特に海外の個人経営の小さな寿司屋はこのパターンが多いようです。

やる気と研究心があればなんでもできるということですが、動画メディアの時代が到来した流れもあって、才能があって自分で道を切り拓いていける人には選択肢の一つといえるでしょう。

寿司を独学で学ぶメリット

  • お金がかからない
  • 時間や場所が自由
  • 動画などを見ながら、じっくり練習できる
  • 人間関係などの煩わしさがない

道具などは買う必要がありますが、自分で勉強するのでお金は学校に行く場合より圧倒的に少なくすみます。
どこかに行くわけでもないので、場所や時間を選べるのも大きなメリットで動画を見ながらじっくり学べるのも良い点でしょう。

また、学校でも先生はいるのである程度気を使う必要はありますが、自分では学ぶ場合は当然なんの気遣いも必要ないので、頭を下げて誰かに教えてもらうのが苦手な方にも向いています。ただし、一般的にカウンターで働くことの多い寿司職人はある程度の接客も必要になってくるので、経営に特化しない限りはある多少のコミニュケーション力は必要といえるでしょう。

いずれにしても、基本的に不必要なものはすべてカットできるので、どんな味がいいのか、どんな商売をすると良いのかなど、自分でどんどん研究して進んでいける人に向いている方法と言えるでしょう。

寿司を独学で学ぶデメリット

  • 誰も教えてくれないので、何が正しいか分かりづらい
  • モチベーションを保つのが難しい
  • ある程度は才能が必要

寿司に限らないですが、独学とは難しいものです。いろいろな動画や本を見て勉強して練習したり、いろんなお店に通って研究したりする必要があるでしょう。また、すべて自分で決めないといけない自由さは多くの人にとっては、継続が難しい原因ともなるでしょう。

また、才能と言ってしまうと身も蓋もないですが、寿司屋を絶対に開きたいという強い意志、味を見極めるセンス、自分の知らない事を研究する力、開店戦略を考える経営力など、いろんな才能が必要となるでしょう。

とはいえ、それでも海外などではそもそも寿司の定義が曖昧なので、強い意志とある程度才能があって海外で開店したい方にはこの方法も選択肢の一つといえます。

寿司職人になるための修業期間

では、寿司を学ぶのは方法によってどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
必ずしも時間がかかることが悪いことではありませんが、まずはそれぞれの方法を比べてみましょう!

寿司屋で働く場合は、約10年

寿司業界では「シャリ炊き3年、合わせ5年、握り一生」という言葉があります。さらに魚の捌き方や食材の扱い方を合わせたら10年はかかります。店によっては、10年かからずに職人としてデビューできる場合もありますが、それでも5年以上はかかると思っていた方がいいでしょう。

最初は先輩より早く出社して掃除や開店の準備、営業中は皿洗いを主にするのが当たり前の世界。簡単には食材を触らせて貰えません。けれども、基礎から習う事によって、職人として一生使えるスキルを身につけることができるのです。

また、すぐに技術を教えてもらえないとしても寿司屋で働くことによって一連の流れを体で知ることになり、それは自分で寿司屋を開店する際には大きな武器になるでしょう。一流店で学べば、そこのお店出身であることは開店時に優位に働きますし、独立をバックアップしてもらえることもあるでしょう。

このように寿司屋で修行するのは大変な一方、確固たる力がつくという強みがありますので、時間がかることは認識する必要がありますが、一概にそれがマイナスとはいえませんので注意が必要です。目的意識を持ちながら一生懸命やれば、かかっ労力以上のプラスを得ることができるでしょう。

専門学校に通う場合は、数カ月

専門学校のコースによって差はありますが、概ね数週間から数カ月で卒業する学校がほとんどです。寿司屋での修業とは違って、寿司を握る技術の習得以外はほとんど行いません。握る技術以外で言えば、魚の目利き、捌き方、衛生面などが挙げられます。最初から寿司を握る練習をするため、短い期間となっています。

寿司の専門学校で学んだ人は、卒業してから海外で寿司屋を開いたり、高い技術を必要としない大型チェーン店で働いたり、実店舗で下積みを始める人が多いようですね。寿司屋で働くよりも効率的に短期間で知りたい技術を得れるのは大きなプラスポイントですが、実際のお店の雰囲気や開店ノウハウなどは自分で研究する必要があります。

独学の場合は自分次第だが、開店する場所による

言わずもがですが、独学にかかる時間はすべて自分次第です。ただ、求められるレベルはどこで開店するかによって大きく異なるでしょう。日本国内で開くのであれば、日本人は寿司をよく知っているので、難易度は非常に高くなり、独学だけでは開店は厳しいかもしれません。

逆に寿司屋の少ない現地人の寿司屋だらけの海外で開く場合は、極端な話、形になってれば始めることができます。それが良いかどうか別として、その国の人がどんな寿司を好むのか、どういうパフォーマンスが受けるのかなど、ブランディングを含めて経営センスが求められることになるでしょう。

寿司職人にはどんな人が向いている?

ここまでは寿司職人になるための方法について紹介しました。
最後に、実際にどんな人が寿司職人に向いているのか見ていきたいと思います。

体力がある人

寿司職人は立ち仕事です。一日中立ちっぱなしの日も少なくないでしょう。魚の鮮度やシャリの状態を保つためにはスピーディーに仕事をこなすことが求められます。

朝早くからの仕込みや力のいるシャリ切り、夜遅くまで片付けや練習をして、相当な体力を使います。また、休日は不定期であったり、休日の日数そのものが少なかったりと、自己管理能力が問われるでしょう。

寿司を通してお客を喜ばせたい人

寿司職人は寿司をお客に提供するのが仕事です。しかし寿司が好きという理由だけでは辛い思いをしてしまうかもしれません。寿司が好きで、かつ寿司を通してお客さんを喜ばす。職人も客も、お互いに幸せな気持ちになれることが大事です。

また、寿司職人はカウンターに立つことが多いので、ある程度のコミュニケーション力はないと苦労することになるでしょう。

前向きな気持ちで練習できる人

技術職は常に何かを学ぶことを求められます。一人前になっても学ぶことに終わりはありません。現在の自分のレベルに満足しないで、常に新しいことを学び続けられる人が向いていると言えます。最初は先輩から怒られながら学ぶことが多いと思います。そんな時に落ち込こまず、怒られた経験を生かすことができるかどうかがポイントですね。

寿司職人になりたいなら自分に合った方法を見つけよう!

「自分の店を持ちたい」「海外で働きたい」など、寿司職人になりたい理由は人それぞれだと思います。寿司職人を目指すにあたって大切なのは、「自分がどんな寿司職人になりたいか、どんなお店を開きたいか、どこで開きたいか」と、はっきりしたビジョンを持つこと。それに合わせて、自分にあった寿司職人になる方法を考えましょう!