Oboro Nigiri — Sweet Shrimp Flake Nigiri
【Reading】おぼろにぎり
【English Name】Oboro Nigiri
おぼろとは、主に芝海老などの小海老をすり身にし、甘めに調味して炒り上げた食材である。淡い桜色の見た目と上品な甘みが特徴で、江戸前寿司において古くから用いられてきた。
握り寿司の調理では、シャリの上にわさびと同様におぼろを「かませる」技法がある。寿司種とシャリの間に薄くおぼろを挟むことで、素材の風味をやわらかく補い、味に奥行きを持たせる役割を果たす。
寿司職人の符牒では、おぼろを「サガヤ(嵯峨谷)」と呼ぶ。長唄の一節「嵯峨谷御室の花吹雪」から転じた隠語とされている。
おぼろは握り寿司だけでなく、太巻きの具材としても定番であり、玉子焼きやかんぴょう、しいたけなどと並んで使われる。歴史的には、嘉永3年(1850年)の『皇都午睡』に芝海老のおぼろを用いた「鉄火鮓」が記されており、現在のマグロの鉄火巻とは異なるおぼろ芯の巻き寿司が先に存在していたことがわかる。伝統的な江戸前の仕事を伝える技法のひとつである。


