鱒寿司
【Reading】ますずし
【English Name】Masu-zushi (trout sushi)
鱒寿司は富山県を代表する郷土料理で、酢をきかせた鱒の薄切りと酢飯を笹の葉で包んで仕上げる押し寿司の一種。発酵工程を経ない「早ずし」に分類される。
作り方は、丸い木製の曲物(まげもの)に笹を放射状に広げ、その上に塩漬け後に調味した鱒を隙間なく並べる。続いて酢飯を詰め込み、笹で覆ったあとに重石をかけて形を整える。竹とゴムで固定した状態で店頭に並ぶのが通例で、食べる際は笹ごと放射状にくし形に切って取り分ける。
歴史的には神通川流域の食文化に根差しており、享保年間に富山藩士・吉村新八が将軍徳川吉宗に鱒寿司を贈ったという逸話が広く知られている。1912年からは駅弁として売り始められ、全国的に知名度が高まった。
もともと神通川をのぼるサクラマスが原料だったが、漁獲量の減少や需要増加に伴い、現在は輸入品や北海道産の鱒類が主に使われている。富山市内だけで約40の製造業者が存在し、酢加減や鱒の配置など各店で個性が異なる点も特徴である。



