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美味しい寿司屋は清潔!愛されるお寿司屋さんの衛生管理

職人

多くの人に愛される寿司屋は、ただ寿司が美味しい店というわけではありません。
店の雰囲気作りやサービスから板前さんの人柄まで、様々な点で魅力ある店が人気を集めています。

その中でも寿司屋で特に大切なのが清潔感。衛生管理が行き届いた店は、おのずと洗練された雰囲気が漂っています。
生の魚介類を扱う寿司屋は、他の飲食店以上に衛生管理を徹底する必要がありますよね。
今回は、美味しい寿司屋の条件ともいうべき衛生管理について考えていきます。

寿司屋が徹底している衛生管理とは?

まず寿司職人たちの服装についてみていきましょう。
寿司職人が板場(調理場)で調理する際は、真っ白な白衣と白い前掛けをしているのが一般的です。

調理服を白衣にする理由は、汚れが飛んだり付いたりした時にすぐに分かるようにするためです。
白衣にすることで汚れに敏感になり、常に清潔感を保つことができるからです。

最近は店によって黒や濃紺の調理服で揃えている場合もありますが、これも清潔感を維持しようとしているためです。白衣とは逆に黒、濃紺は汚れが目立たないため、清潔な雰囲気にを演出する効果がありますが、行き届いた管理が必要です。

寿司職人の命!手を清潔に保つ

寿司を握る職人は、基本的に板場に立つ時は常に手指を清潔に保つよう気を配っています。
しかし、寿司を握ったり、包丁を持ったりするたびに手洗いや消毒をしているわけではありません。

寿司職人は寿司を握る際に「手酢」と呼ばれるものを使います。
「手酢」はその言葉どおり、手につける酢のことで、寿司職人は殺菌消毒のため調理中は手を酢で湿らせているんです。

酢には殺菌消毒効果の他に、手の平を冷やす効果があります。
手の平の温度は、普通の人であれば平熱より少し低い33℃ ~ 34℃。
しかし、寿司職人の手の温度はそれよりも低い30℃前後に保たれています。
これは手の熱を抑えることでシャリやネタの温度を上げないようにして、生ものが傷まないよう配慮しているのです。

一流の寿司屋は掃除のプロでもある

寿司屋の修行は掃除から始まると言われています。
板場・カウンター・テーブル・洗い場など、店内を隅々まで美しく掃除することを修業時代から徹底的に教え込まれます。
店の衛生管理についてしつかり理解した後、寿司職人は魚の捌き方や握り方を学んでいくのです。

江戸時代の寿司屋の衛生管理

握り寿司の文化が生まれた江戸時代は冷蔵庫もない時代です。
現代のように生の魚を握る寿司はなく、酢締めにしたり、ヅケにしたり、または煮た魚介類を扱った寿司ばかりでした。
江戸時代は冷蔵庫がないばかりか、手を洗う石鹸もありませんでした。代わりに殺菌消毒効果のあるムクロジいう植物の実で手洗いをしていたようです。
魚介類を腐らせずいかに美味しく食べるか、そのために手指の殺菌消毒に配慮するのは江戸時代でも同じだったんですね。

海外では寿司屋の衛生管理で議論も巻き起こった

現在では日本のみならず海外でも親しまれるようになった寿司の食文化。
人気の高まりから多くの国で寿司屋がオープンしていますが、衛生観念の違いから議論が起きたケースもあります。
たとえば、アメリカのニューヨークやカリフォルニアの衛生局では、「過熱しない食品を調理する場合、素手で触れてはならない」といった衛生基準を飲食店に導入しています。

この衛生基準により、ニューヨークやカリフォルニアに店を構える寿司屋では、使い捨て手袋の着用が義務付けられることになりました。
そして、これをきっかけに、「素手と手袋のどちらが衛生的か?」と議論が巻き起こることとになったのです。

ただ、衛生面を考慮して手袋を使っても、必ずしも素手で触るより安全になるとは限りません。
汚れた手袋で調理場を触ってしまうと、結果的により危険な相互汚染につながります。
さらに、汚れるたびに手袋を交換するのも資源の無駄遣いになったり、使いまわしたりして結果的により不衛生になる場合もあります。

また、衛生面ばかりでなく、寿司職人は目利きをして仕入れた魚でも、実際に寿司を握る時は、直接ネタに触れることで鮮度や脂の乗りを見極めてから握ります。
寿司を握る時のシャリに加える微妙なカ加減も、やはり素手でなければ難しくなってしまいます。
手袋をつけた方が良いのか、素手で握った方が良いのか、一概にどちらがいいのか断言はできませんが、やはり素手で握って初めて寿司本来の味わいが出せると思っている職人さんも多いようです。

感染症対策も寿司屋の衛生管理で重要になる

飲食店を悩ます感染症予防対策ですが、時に2019年頃からは新型コロナウイルスの流行で、一般人も感染症対策に敏感になっており、感染症の予防対策はさらに重要な取り組みになっていくでしょう。
コロナウィルス対応として下記のようなことをおこなっている店舗が多いですが、これらの取り組みは他の感染症対策にも有効であるため、新型コロナウイルスなどが収束したあとでも残っていくのかもしれません。

  • 出入口へのアルコール消毒液設置
  • 入店時の検温
  • レジカバーや飛沫防止シートの設置
  • 定期的な店内の消毒作業
  • 電子マネーやクレジット決済の推奨

まとめ

今回は、寿司屋の衛生管理について紹介していきました。
美味しい寿司を握るだけでなく、衛生管理をしっかり行って「安心」を提供できる店こそ、多くの人に愛され、人気のある寿司屋になることができます。

寿司屋の衛生管理、さりげないサーピスをあらためて知ることで、寿司をより深く楽しめますので、寿司屋へ足を運んだ際には、衛生管理の面も見ていくと、普段気づかなかったその店の良さを発見することができるかもしれませんね。