Okatazushi — Okata-Style Sushi
【Reading】おかたずし
【English Name】Okata-zushi
お方ずしは、大分県大分市の竹中地区で受け継がれてきた郷土のすし料理である。「お方」とは庄屋を意味する地域の呼び名で、料理名もここに由来する。
かつて田植え前の初夏になると、農繁期の始まりを告げる「地獄入り」と呼ばれる行事が行われていた。この場で庄屋が小作人たちへの慰労として振る舞ったのが、このすしの起源とされている。当時、白米は小作人にとって貴重であり、すし飯を口にできること自体が大きな楽しみだったという。
作り方は、まずアジを七輪などでじっくり焼いてから身をほぐす。うずら豆(金時豆でも代用可)は一晩水に浸けたあと、煮崩れしないよう弱火で甘く炊き上げる。これらをすし飯に混ぜ合わせ、俵型に握って仕上げる。魚と豆という素朴な組み合わせが特徴で、当時その土地で調達しやすかった食材を活かした暮らし密着型のすしといえる。
農作業の仕組みが変化するにつれ「地獄入り」の行事自体が行われなくなり、お方ずしを食べる習慣も衰退している。現在では地元の産直市などで時折見かける程度にとどまっている。


