Kuromutsu — Japanese Bluefish (Deep Sea)
【Reading】くろむつ
【English Name】Black Japanese Bluefish
ムツ科ムツ属に属する大型の深海魚がクロムツである。学名 Scombrops gilberti(記載者:Jordan & Snyder、記載年:1901年)が与えられており、強烈な肉食性を示す種として知られ、体長は最大でほぼ1mに及ぶ記録がある。
体名に冠された「クロ」は、ムツと比較した際に顕著な体色の黒みから名付けられたものだ。漁業従事者の間では「カラス」という別称が一部の地域で使われてきた。分布海域は北海道南部から本州中部にわたり、ムツよりも北寄りに偏った生息域をもつ点が特徴的である。成長した個体は水深200〜500mの岩礁帯を主な生活圏とし、小魚·イカ·甲殻類などを餌として捕食する。
外観はムツに非常に近く、漁獲後の判別には注意が必要だ。見分ける手がかりとしては、上顎の歯の本数(クロムツでは9〜12本、ムツでは13〜15本)と側線上の鱗の枚数(クロムツ60〜68枚、ムツ50〜56枚)が判定に役立つ。産卵シーズンは3〜5月ごろで、ムツと比べると産卵時期がやや遅い。
クロムツの白身は脂肪分が豊富であることで評価が高い。「むつっこい(脂っこい)」という方言表現がムツ類全体の名の起源という説も残っている。寿司では炙りで供されることが多く、刺身·煮付け·鍋料理·味噌漬けなど調理の幅が広い魚だ。旬は産卵前の冬季にあたる。
水銀含有量の観点から、厚生労働省は妊娠中の摂取量について1回80g·週2回(合計160g前後)を目安とするよう呼びかけている。


