Saba Narezushi — Fermented Mackerel Sushi
【Reading】さばなれずし
【English Name】Saba nare zushi / Mackerel nare zushi
鯖なれ寿司は、鯖を塩に漬けたうえで米飯と重ね、長い時間をかけて乳酸発酵を促す古来の保存食にあたる。酢は一切用いず、微生物の働きから生まれる自然な酸味を特徴とし、寿司の原初的な姿である「なれずし」に分類できる。
奈良時代に編纂された『養老令』には鮓に関する記載があり、発酵を利用した寿司は1000年を超える歩みを刻んできた。鯖は鮮度低下が極めて速く「鯖の生き腐れ」という言葉が残るほどであり、塩蔵や発酵を通じた保存の工夫が早い段階から求められた魚である。若狭湾で水揚げした鯖に塩を施し京都へ届けた「鯖街道」の文化圏とも深い結び付きを持つ。
九州から北陸まで幅広い地域で食べ継がれ、山陰地方や内陸の山間集落では郷土の味として定着してきた。室町期になると発酵期間を短縮した「なまなれ」が生まれ、漬け床のご飯ごと食す形が広まった。現代においてふなずしほどの全国的な認知度はないものの、和歌山県や高知県などでは各地独自の鯖なれ寿司が受け継がれ続けている。


