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刺身とは?刺身の雑学あれこれ

今やインターナショナルな知名度を有するようになった刺身(SASHIMI)。
ユネスコの無形文化遺産にもなった和食の代表的な料理として、刺身は世界中で愛されるようになりました。

本記事では、そんな外国でも知名度の高い刺身について解説します。

刺身とは?刺身と寿司の違い

刺身とは?刺身と寿司の違い

刺身とともに、日本食の代表として世界中に広がったのが寿司(Sushi)。
刺身と寿司いずれも、海外ではあまりない生食文化であることから、刺身と寿司を同じと捉える外国人も少なくありません。

しかし、日本人であればわかるとおり、刺身と寿司はまったく異なる料理です。
刺身とは、生の魚介類などを切り分け、醤油やわさび、生姜などをつけて食べる料理のことで、寿司は生の魚介類や発酵させた魚などを酢飯などと一緒に食べる料理のことです。

現在は刺身も少し複雑化しています。

馬刺しやレバ刺し、こんにゃく、ゆばなどの魚介類以外の素材を生や冷たい状態で切って刺身として提供したり、完全な生ではなく、茹でて火を通した素材を冷したものを刺身として提供したり、酢締め、昆布締めといった方法を用いて刺身として提供したりと必ずしも魚介類の生食とはいえないようになっています。

刺身の名の由来

15世紀の古い文献では、刺身は指身と書かれていることもありますが、刺身という名前の由来については諸説あり、以下が有力説とされています。

  • 魚を「切る」という言葉は忌み言葉であるため、「刺す」という言葉を使用するようになった
  • 魚を判別する際に尾の部分を指で「指す」風習がもとになった
  • 釣った魚を活〆にするとき釘状のもので頭部を「突き刺す」慣習があったことから生まれた

「SASHIMI」という発音は古くから広い地域で普及していたようですが、どの漢字を用いるかは時代や地域によって異なることが多く、刺身という漢字になった歴史的経緯は今のところはっきりとはしていません。

刺身の歴史

刺身の歴史

刺身は、江戸時代に江戸で発展したといわれており、江戸時代の資料である『守貞漫稿』には、カツオとマグロを売る屋台の「刺身屋」が繁盛したと記されています。

江戸時代の中期までマグロは煮るか焼くか、塩漬けで食べるのが一般的でしたが、江戸時代後期から醤油漬けのマグロを生食するようになって、その味がおいしいことから刺身文化が広がり、「刺身屋」のようなお店が繁盛するようになったのです。

このように、江戸時代にマグロやカツオの生食が広がったものの、完全な生ではなく醤油漬けでした。

しかし、江戸時代以降になると、冷蔵設備や冷凍技術の進歩と普及、流通の発達に伴い、日本全国で新鮮な刺身が食べられるようになりました。

また、大正時代頃までは完全な生の刺身として食されてたのはヒラメやタイのような透き通った魚がメインで、サケやイカなどのように寄生虫がある魚は生食できませんでしたが、大正時代以降はさらなる冷凍技術の発達により多くの魚介類が生食できるようになり、刺身文化は大きく発展したのです。

刺身の食べ方や盛り付けなど

刺身の調理法は、魚のうろことえらを取り、腹から内臓を取り出し水でよく洗う「水洗い」を行い、三枚おろしや五枚おろし、大名おろしといった方法で魚をさばき、捌いた身から、骨や皮を包丁で取り除くなどして「さくどり」を行い、さくどりした身を切って刺身にします。

また、見た目にもこだわる刺身は、様々な盛り付けがあります。

魚を薄くカットして冷水で洗って盛り付ける「洗い」、マグロやサーモンなどで用いられる、平たく切る「平造り」、フグなどに用いられる薄く切る「薄造り」、イカやサヨリなどで用いられる細く切る「糸造り」と呼ばれる方法がよく知られています。

さらに、一緒に盛り付けるつまや薬味、香辛料によってさらに刺身はさらに美味しくなりますが、こうした食材は「あしらい」と呼ばれます。最も一般的なあしらいには、大根の細切りや紫蘇があり、ほかにはきゅうり、ウド、海藻などを盛ることも。

口の中をさっぱりとさせてくれるガリや、見栄えをよくする食用菊も、刺身のつけあわせとして定番です。
基本的に刺身は醤油をつけて食べるのが一般的ですが、ポン酢を使用することもあります。

また、薬味屠蘇いてはわさびがよく知られていますが、カツオやイワシなどで用いられるショウガ、フグやヒラメに用いられるもみじおろしも薬味としてお馴染みです。

刺身は安全?

日本人にとっては親しみがあり、食生活から欠かすことのできない刺身ですが、生の食品であるため、完全に安全ということはできず、バクテリアや寄生虫などによるリスクはあります。

よく知られているのはアニサキス症で、幼虫が生きたまま体内に入ってしまうと食中毒になる可能性があります。
また、不適切に調理されたフグには強力な毒がある場合があるため、免許を持たない人が調理したフグの刺身を食べるのは非常に危険です。

アニサキスの症状は激しい腹痛、吐き気、嘔吐、腹膜炎症状などで、原因になりやすい魚介類の刺身は、サバ、サンマ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカなど。また、冷凍処理がされていないシメサバでは多くのアニサキス症が報告されているので注意が必要です。

また、酢や塩、しょうゆ、ワサビなどの調味料が寄生虫に効果があるといわれることがありますが、これらではアニサキスの幼虫は死にません。アニサキスの幼虫は噛み切ることはむずかしく、科学的根拠のない俗信には注意が必要です。

農林水産省のアニサキス症の予防に関するページではアニサキス症による死亡例はないとされていますが、食中毒になると大変痛い思いをするので、刺身はしっかり衛生管理しているお店や知識のある人が調理したものを食べるようにしましょう。

日本だからこそできる刺身

日本人にとっても日々の食生活に彩りを与える欠かせない存在ともいえる刺身は、寿司と同様に今や世界中で親しまれている代表的な和食。

外国では生食文化はあまりみられず、敬遠する人も少なくありませんが、刺身は世界でもダントツで高い衛生管理レベルを持つ日本だからこそ実現できる料理ともいえます。

生食文化に馴染みのない外国人にも、日本を訪れた際はぜひ安全なお店で刺身を存分に楽しんでもらいたいですね!