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くら寿司の歴史、止まらない回転寿司の進化

寿司を手軽に楽しめる回転寿司は、今では日本の食文化の一つとなっています。

回転寿司の中でも代表格のロボット系回転寿司チェーン「くら寿司」の歴史はいつから始まったのでしょうか。
今回はくら寿司の歴史を中心に、現在に至るまでの変遷や未来への展望について紹介します。

くら寿司の歴史

くら寿司のはじまり 

くら寿司の前身は、 1977 年に創業者の田中邦彦氏が大阪府堺市で開業した個人経営の寿司屋です。
1984年に「回転寿司くら」と名乗り、堺市中百舌鳥に1号店を誕生させると、回転寿司事業に参入し、1995 年に株式会社くらコーポレーション(現くら寿司株式会社)を設立します。

回転寿司への移行した当初は、カウンター席のみであったため、家族連れには利用しづらいという問題点もありましたが、1987年にボックス席やE型レーンを導入して解決します。

こうして、子供連れが集う寿司店「くら寿司」というイメージを作り上げると、 2001 年に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場に上場、2004 年には東京証券取引所市場第二部に上場、2005 年には東京証券取引所市場第一部に上場。
同じくロボット系回転寿司のスシローやかっぱ寿司、はま寿司などと並ぶ最大の回転寿司チェーンとして、業界の一翼を担うことになります。

名前に込められた創業者の思い

家族連れを集客することで大成功したくら寿司。
創業者である田中氏の思いは、子どもたちもともに集う寿司店という形態に凝縮されています。

田中氏の出身地は、岡山市倉敷市からほど近い町。
蔵の街といわれる倉敷市で幼少期、町中の蔵の中を覗きつつ遊んだあの高揚感を、くら寿司のお客さんである子どもたちにも感じてほしい、そうした思いが、店名に込められています。

くら寿司の変化や強み

くら寿司の変化や強み

くら寿司は、自動皿カウント水回収システム、ビッくらポン!、タッチパネル、寿司キャップ鮮度くんなどの独自システムを次々と導入しました。

くら寿司の斬新な仕組みやシステムは、どのような経緯で開発されたのでしょうか?その背景に迫ります。

独自システムを次々と開発

回転寿司を開店した当初は、注文システムに不備が多く、注文者ではない別の人に料理が届いてしまうなどのトラブルが絶えませんでした。そこで技術改革し、注文専用のパネルやオーダーレーンを導入、注文者に正しく迅速に料理が届くシステムを完成させたのです。

衛生面の技術も刷新されました。
流水を利用した使用済み皿の回収、一定時間が経過した寿司の自動廃棄などなど、システム化された工程は少なくありません。

食の安全だけではなく、マンパワーの効率化も可能にしたこれらのシステムは、くら寿司独自のもの。
画期的で多様な試みが、事業拡大という成功へと繋がっていったのです。

利用客の声を大切にしたマーケティング力

くら寿司の特徴のひとつに、利用客の声を活用することがあげられます。

たとえば、使用済みの皿回収システムが生まれたのは、空の皿を卓上に残しておくのが恥ずかしいという女性客の声がきっかけでした。

利用客の声から生まれた工夫は、そのほかにもたくさんあります。
「寿司がむき出しのままレーンから流されてくるのは衛生的にイマイチ」という声を受け、寿司皿にキャップがかぶせられるようになりました。

利用客の声をひとつひとつ拾った結果、くら寿司の独自性が生まれていったといえます。

合理性は食の廃棄問題の改良にも

みなさんは回転寿司店で、レーン上に流れている寿司を取って食べますか?
それとも、タッチパネルから注文しますか?

回転ずしチェーンの多くは、前者と後者の割合が3:7といわれています。

一方、くら寿司ではこの割合が5:5。
より効率的に寿司を提供できるため、昨今話題のフードロスにも繋がるというメリットがあります。

エンターテイメント性を重視

また、創業者の子供への思いを体現するサービスも有名です。

子供に大人気のサービス「ビッくらポン」は、食べ終わった皿5枚がくじ代わりになるというもの。
当たりが出ると景品がもらえるこのサービス、エンターテイメント性で大いに人気を博しています。

近年はアニメのキャラクターとのコラボ企画も話題となり、景品目当てに来店する家族連れも後を絶ちません。

海外進出など加速するくら寿司の事業拡大

米国及び台湾にも進出しており、コロナ禍にも負けず、海外での出店を順調に増やし続けるくら寿司。
すでに10店舗以上出店しているアメリカでは、さらに多くの州に拡大する計画をたてているほか、2023年夏頃を目安に中国の上海への出店も計画しています。

今後はコロナ禍後の外食需要の回復やインバウンドの復活により、海外の出店ペースが加速する可能性が高く、海外市場における事業拡大が予想されます。

2022年には長らく行っていなかった値上げも断行し、コロナ禍という未曾有の危機を乗り越えたくら寿司。
今後は需要の回復とともに、スシローなど他社大手回転寿司チェーンとの、生き残りをかけた競争が熾烈化することになるでしょう。

世界へ羽ばたく無添くら寿司

くら寿司の歴史。
それは時代や利用者の声に応え続けた結果生まれた、発展の積み重ねといってもよいかもしれません。

利用者が安心して食べ、さらに楽しむことを望んだ創業者田中氏の熱い思いが形になり、くら寿司は成長してきました。

食の安全、作業の効率化だけではなく、エンターテイメント性も極めていることが、くら寿司の大きな魅力。
国内外で店舗数を拡大中のくら寿司の戦略に、今後も要注目です。