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これであなたも寿司マニア!?いろいろある寿司の種類

寿司盛り

寿司と言われてイメージするのは、やはり一般的な「握り寿司」ですね。
ポピュラーな握り寿司以外にも、実は色々な種類の寿司があることをご存知でしょうか。
変わった作り方をする寿司もあれば、地方の郷土料理として親しまれている寿司など、実は寿司の種類は多彩です。
今回は、寿司マニアは知っておきたい様々な寿司の種類をご紹介します。

寿司の種類数は意外と多い

今ではどこでも当たり前に楽しめる江戸前の握り寿司。昔は魚介類の保存方法や輸送技術が進んでいなかったため、新鮮なネタを食べるのはとても困難でした。

特に海から遠く離れた地域では、生食ではなく、魚を腐らせないように加工して作る寿司が一般的で、そこからたくさんの種類の寿司が生まれたのです。

保存方法や輸送技術が発展していくと、海から離れた地域でも新鮮な魚介類を楽しめるようになりましたが、昔から食べられていたその地域特有の寿司は郷土料理として今もなお愛されています。

では、全国にどんな寿司があるのか、代表格である江戸前の握り寿司をはじめ、様々な寿司の種類を見ていきましょう!

握り寿司

言わずと知れた寿司の代表格である「握り寿司」。
シャリの上に新鮮な魚介類を乗せるだけの至ってシンプルな寿司です。

シンプルながら、一貫ずつ込められた握りの技術は繊細で、江戸前の伝統がなせる業です。

四季折々のネタに合うようシャリの硬さからワサビの量まで緻密に計算して握られます。

江戸時代の寿司は、現在のように洗練されたものではなく、おにぎりほどの大きさがあり、屋台を中心にした今で言えばファーストフードのような大衆的な食べ物でした。

軍艦巻き

握り寿司と同じく江戸前寿司でおなじみの「軍艦巻き」は、ネタをのせたシャリをその名のごとく海苔で軍艦のように巻いた寿司。

軍艦巻きはイクラやウニ、白魚(しらうお)やカニ味噌、エビマヨなど、形が崩れやすくて握りにくいネタを扱う時に作ります。

軍艦巻きを考案したのは銀座の高級寿司店『久兵衛』。「イクラの寿司が食べたい」という常連客の要望から考案されました。

軍艦巻きの登場は、寿司業界における革命的な事件でした。それまで柔らかくて握れなかったネタの全てが寿司として出せるようになったからです。はじめのうちは、握らずに巻いて作る軍艦巻きは江戸前寿司の邪道だと非難されていましたが、今ではすっかり寿司の定番になっていますね。

海苔巻き

軍艦巻きとは似ているようで大きく異なる「海苔巻き」。

軍艦巻きのように握ったシャリを海苔で巻くのではなく海苔の上にご飯を敷き詰め、その上にネタを乗せて巻きます。

海苔巻きは太さによって細かい種類に分けることができ、

・太巻き寿司:桜でんぶ、カンピョウ、きゅうり、卵焼きなどの具材を使います。
・中巻き寿司:サラダ巻き、海鮮巻き、恵方巻き、カリフォルニアロールなど。
・細巻き寿司:かっば巻き、鉄火巻き、ネギトロ巻き、カンピョウ巻きなど。

寿司屋で出される海苔巻きといえばやはり細巻きが主流。
最近では海苔巻きを完全に巻いた状態ではなく、手巻き寿司のような形で手渡して提供する店も増えていますね。

サラダ巻き、海鮮巻き、恵方巻きは今ではスーパーや百貨店でも購入できるようになり、近年増えてきた人気の海苔巻きです。

押し寿司

酢飯とネタを木枠の型に入れ、上から圧をかけて作ります。

別名、箱寿司とも呼ばれ、主に関西地方で親しまれています。

押し寿司は、鯖、小鯛、サーモンを乗せて作るのが一般的です。特に鯖の押し寿司は「バッテラ」と呼ばれ全国的に広く嗜まれていますね。

バッテラのように全国に知られている押し寿司の他に、地方特有の押し寿司が多く存在しています。例えば、木槌で打ち込んで作る香川県の「カンカン寿司」や、豪華な箱に十人前以上を敷き詰め、蓋の上に人が乗って作る山口県の「殿様寿司」など一風変わった押し寿司があります。

ちらし寿司

寿司の中でも手軽に家庭で楽しめるのが「ちらし寿司」。

ひな祭りや正月で作る家庭も多く、ちらし寿司の素も販売されていて身近な寿司と言えますね。家庭で作るちらし寿司は、錦糸卵、しいたけの煮つけ、桜でんぶなどを具材とするのが一般的です。

寿司屋でもちらし寿司を用意している店があり、握り寿司で使う新鮮なネタをふんだんに盛り付けた豪華な海鮮ちらしを作ってくれます。

いなり寿司

ちらし寿司と同じく家庭で愛されている「いなり寿司」。

関西地方で親しまれ、甘辛く煮た油揚げの中に酢飯を詰めます。
油揚げは稲荷神(いなりがみ)の使いである狐の好物と言われ、油揚げを稲荷神社の供物としていたことから油揚げを使った寿司を「稲荷寿司」と呼ぶようになりました。

酢飯に胡麻や刻み生姜を加えるなど、現在では様々なアレンジを加えたいなり寿司のレシピがありますね。地域によっては栃木県の「俵寿司」のように俵型に作った珍しいいなり寿司もあります。

地域特有の変わった寿司

全国には古くから郷土料理として親しまれている寿司が今でも数多く残っています。

郷土料理として伝わる寿司はどれもみな個性的なものばかり。その地域特有の一風変わった形と味わいを持ち、機会があればぜひとも食べておきたい珍しい逸品ばかりです。

どんな変わった寿司があるのか、地方に残る郷土寿司をいくつかご紹介しましょう。

めはりずし

和歌山県と三重県にまたがる熊野地方、奈良県吉野郡に伝わる郷土料理。

刻んだ高菜漬けの軸、胡麻、じゃこ、鰹節などを酢飯の中に入れ、さらにその酢飯を高菜の浅漬けの葉で包んで作ります。

目を見張るほど大きな口を開けて食べることからその名がつき、「日本最古のファーストフード」とも言われています。

ふなずし

滋賀県北東部近江地方に伝わる伝統的な郷土寿司です。
現存する最古の寿司と言われ、いわゆる酢飯を使った「寿司」ではなく、塩と米飯で乳酸発酵させて作る「馴れずし」の一種です。

琵琶湖で獲れるニゴロブナを塩漬けにし、炊いたご飯とフナを重ね漬けにして自然発酵させて作ります。一緒に発酵させた米は食べず、魚だけを食べます。癖のある味が特徴的で、酒との相性は抜群ですね。

馴れずしは寿司の起源となる保存食です。ふなずしは現存する数少ない馴れずしで、極めて貴重な寿司と言えます。

 

かぶらずし

石川県の伝統的な郷土料理。金沢では正月の定番料理として親しまれています。
ふなずし同様、蕪(かぶ)に切り込みを入れ、プリを挟んで発酵させた「馴れずし」の一種。

脂がふんだんにのったブリと発酵させた蕪が絶妙に溶け合い、独特な酸味が魅力になっています。石川県では誰もが知る加賀の郷土寿司ですね。

 

ボウゼの姿寿司

四国の徳島県に伝わる郷土寿司は魚一尾を丸々使った全国の中でもひときわ変わった寿司です。ボウゼはイボタイのことで、酢に漬け込んだボウゼにシャリを詰め込み、輪切りにしていただきます。

徳島県ならではのボウゼの姿寿司は秋が食べ頃。徳島県の人々に長く愛され、他県からわざわざ食べに訪れる人もいるほど、知る人ぞ知る名物料理です。臭みはなく、適度に酸味が利いたボウゼと酢飯が徳島の秋を感じさせてくれます。

まとめ

日本にはたくさんの種類の寿司があり、地域ごとに長い間愛されてきました。

新鮮なネタを活かすために作られたものもあれば、古くからの保存方法を活かして作られたものなど、それぞれ伝統がありましたね。

これからは外国の食文化と関わることで、新しい種類の寿司が生まれてくるかもしれません。裏巻きでアボガドやキュウリを巻いたアメリカのカルフォルニアロールなどその好い例ですね。カルフォルニアロールから派生して、アボガドのスライスをのせ龍の形に見立てて作るドラゴンロールと呼ばれる海外の寿司もあります。

 

機会があれば江戸前寿司以外の寿司も積極的に食べてみてください。たくさんの種類の寿司を食べることで寿司への愛着が深まり、より寿司通になることができます。