寿司屋の開業方法2〜開業に必要な資格や事務手続き〜
寿司屋を開業したいと考えてはいるものの、準備について不安や疑問を抱いているという人も多いのではないでしょうか。
今回は寿司屋を開業したいと考えている人に向けて、必要な資格や事務手続きについて解説していきます。
なお、本記事では全体の流れを把握して開業のイメージをつかむことを目的としているので、正確な費用や条件については、事前に窓口にてお確かめください。
寿司屋開業に必要な資格や許可
寿司屋開業に必要な資格と許可は、「食品衛生管理責任者資格」と「飲食店営業許可」です。
「飲食店営業許可」を保健所へ申請する際に「食品衛生管理責任者資格」が必要になるため、「食品衛生管理責任者資格」を取得した後に「飲食店営業許可」を提出するという流れが一般的です。
食品衛生管理責任者
栄養士、調理師、食品衛生管理者などの有資格者や指定された講習の受講修了者が「食品衛生管理責任者」になることができます。
「食品衛生管理責任者」は一つの店に1名以上いる必要があり、いない場合は保健所で講習を受けて資格を取得します。
費用については地域で異なりますが、1万円ほどが一般的です。
飲食店営業許可
「飲食店営業許可」はお店のある場所を管轄する保健所に申請し、審査に合格することで取得できます。
保健所への申請書類提出から取得までの期間は約2〜3週間ほどで、費用は18,300円です。
取得の流れは、まず保健所に事前相談した上で、後述する必要書類を提出して営業許可の申請を行います。
営業許可申請が受理されると、保健所の担当職員が検査を実施し、検査に合格すると営業許可書が交付されます。
<飲食店営業許可の申請に必要な書類>
- 食品衛生責任者の資格の証明書類
- 飲食店営業許可申請書(保健所窓口や自治体ホームページなどから入手可)
- 場所の見取り図(最寄り駅等を起点にしたお店の所在地を示した見取り図)
- 営業設備の大要・配置図(店舗内の設備一覧。保健所窓口や自治体ホームページなどから入手可)
- 内装の配置の平面図
- 登記事項証明書(法人の場合)
その他の資格
収容人数が30名以上の場合は、「防火管理者」の資格を持った防火責任者も配置する必要があります。
「防火管理者」の資格は地域の消防署へ行き、講習を受けることで取得できます。
講習は1日または2日で、費用は3000〜5000円程度です。
なお、寿司職人になること自体に必要な資格はありません。
ふぐのお寿司を扱う場合は「ふぐ調理師免許」が必要になるなど特殊ケースはありますが、調理師免許も必須ではないので、スキルや実力が全ての職人の世界です。
開業に必要な事務手続き
寿司屋を開業する場合、個人事業主または法人として行う場合で事務手続きは異なります。
どちらが良いかは、売上や経営形態によって変わってきます。
一般的に売上が500〜600万円以上になってくると税金面で法人の方が有利になると言われています。
また、寿司屋の場合は法人であるから集客しやすいということはあまりなく、税務以外で法人であることがプラスになるのは、融資などにおける金融機関や仕入れなどにおける取引先とのやり取りなどで信用力が必要な場合です。
なお、フランチャイズで開業したい場合、個人事業主でもできますが、法人でないと契約しないチェーンもあるので、条件面を確認する必要があります。
法人登記する場合
法人として会社を設立する場合は、後述する書類を法務局や所轄の税務署に提出しますが、法人登記書類の作成を自分で行うのは効率が悪いため、リーズナブルな手数料で対応してくれる司法書士や税理士を探すことがオススメです。
「法人登記 格安」などのキーワードでネット検索してみると1万円ほどで対応してくれる専門業者がすぐ見つかります。
資本金0円の場合、株式会社であれば20万円程度、合同会社であれば10万円程度の費用で事務的な設立を行うことができます。
なお、合同会社のメリットは設立費用やランニングコストが安いこと、決算公告の義務がないことです。
株式会社への移行も可能なので、株式会社であることにこだわりがなければ合同会社でも十分です。
また、銀行口座の開設も必要です。まだ信用力がない場合はメガバンクでの口座開設はハードルが高いので、まずは楽天銀行などのネット銀行などで開設し、その後に申し込むのが比較的開設しやすい方法になります。
ただし、大手銀行の場合はインターネットバンクの維持に毎月数千円かかる場合が多いので、大手銀行であることが重要でなければネット銀行だけでも十分です。
振込処理にかかる時間が大幅に短縮されるので、インターネットバンクは開設しておいた方が良いでしょう。
<法人登記する場合に必要な書類 ※外注推奨>
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款
- 発起人の決定書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込みがあったことを証する書面
- 印鑑届出書
- 登記すべき事項を記載した書面又は保存したCD-R
など
個人事業主として始める場合
個人経営の小規模な寿司屋の場合、法人であることによるメリットは税務面以外はあまりないので、個人事業主として始めても問題はないでしょう。
まずは個人事業主として始め、年間売上が500万円くらいになりそうな場合は、合同会社へ移行し、様子を見て必要があれば株式会社へ移行するという方法が現実的です。
なお、個人事業主として行う場合、下記の書類を納税地の所轄税務署に提出します。
<個人事業主を始める場合に必要な書類>
- 開廃業等届出書
- 青色申告承認申請書
- 所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書
など
まとめ
寿司屋の開業に必要なのは、「食品衛生管理責任者資格」と「飲食店営業許可」で、寿司屋だから特別に複雑ということはありません。
法人登記を行う場合は手続きは若干複雑になりますが、書類作成を素人が行うと無駄に時間がかかるので、格安な専門業者をうまく利用した方が良いでしょう。
事務手続きは必要な要件をミスなくクリアすれば良いので、労力を割きすぎないようにし、それよりもターゲットとする顧客に好まれる店の造りや経営計画など、もっと重要な実務面に力を注いだ方が良いでしょう。