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巻き寿司とは?外国人にも愛される巻き寿司について解説

握り寿司と並んで寿司の代表とされているのが、巻き寿司(Maki Sushi / Nori Sushi)です。
日本では江戸時代に登場した巻き寿司、寿司という食文化が国内外で大きく花開くと同時に、さまざまなバリエーションが登場しています。

巻き寿司とは本来どのようなもので、どのように発展してきたのでしょうか。
外国で進化する斬新なメニューも含めて、巻き寿司のあれこれを解説いたします。

巻き寿司とは

まずは、巻き寿司の定義から見ていきましょう。

巻き寿司とは、「海苔や板状にしたとろろ昆布、または薄焼き卵で、芯に具材を入れた酢飯を巻いたもの」を指します。
江戸前寿司の一般的な料理のひとつであり、「巻物」と呼ばれることもあります。

すだれを用いて巻く巻き寿司の種類には、細巻き、太巻き、磯巻き、伊達巻き、また海外生まれの裏巻きなどが知られています。

巻き寿司の歴史

巻き寿司はいったい、いつ頃登場したのでしょうか。

巻き寿司が誕生したのは、1750年頃と伝えられています。
一般的に普及したのは1780年前後。現代の寿司の顔ともいえる握り寿司が生まれたのが1810年頃ですから、巻き寿司はそれよりも早く、寿司文化を牽引したことがわかります。

ちなみに太巻きは1780年代に流行し、豪華さをウリにするお店が大人気となりました。
寿司の文化が発酵寿司から早ずしへと転換する時期に巻き寿司が登場し、確かな存在感を放っていったのでしょう。

巻き寿司の種類(日本での種類)

巻き寿司の種類(日本での種類)

巻き寿司は構造上、バリエーションが豊かです。
日本で進化した巻き寿司、その主な種類を見ていきましょう。

細巻き

巻き寿司の中でも最もよく知られているのが、細巻きです。
径が小さい細巻きは食べやすく、老若男女に大人気。

かんぴょう巻き、鉄火巻き、かっぱ巻き、ねぎとろ巻き、しんこ巻き、アナゴ巻きなどが定番です。

太巻き

太巻きは主に直径5cm以上になる巻き寿司を指します。

玉子やかんぴょう、でんぶ、焼きアナゴ、きゅうりなどが主な具材ですが、地方や家庭、あるいはお店によって独自の製法があります。近年では、節分に食べる恵方巻きが人気ですが、これも太巻きの一種です。

関東では卵焼きを入れることが多い太巻き、関西では高野豆腐が人気。
ベジタリアンの太巻きもあり、こちらは精進巻きの名があります。

磯巻き

磯巻きは、主に関西で食べられる巻き寿司です。
とろろ昆布で巻くのが特徴で、具には酢でしめた鯖が用いられます。

伊達巻き

伊達巻きと呼ばれる巻き寿司は銚子名物。
分厚い卵焼きが特徴で、酢飯と具の上に半月状に乗っている豪快な寿司です。

巻き寿司と手巻き寿司のちがい

パーティーメニューとして人気が定着した手巻き寿司(Temaki)。
巻き寿司と手巻き寿司には、違いがあるのでしょうか。

手巻き寿司も、海苔に鮨飯と具を入れて巻くという点では、巻き寿司の範疇にあります。
唯一の違いは、すだれを用いるか用いないかというポイント。

一般的な巻き寿司は、すだれを使ってきっちりと仕上げます。
一方手巻き寿司は、すだれを使わずに手で巻くのが特徴です。巻き寿司のカジュアルバージョン、といった趣といえるでしょう。

海外で進化する巻き寿司

海外で進化する巻き寿司

寿司(Sushi)はアメリカなどを中心に、海外で独自の進化を遂げています。

海外で進化した巻き寿司、それが裏巻き寿司です。
巻き寿司は一般的に、寿司ロール(Sushi Roll)と呼ばれて、アメリカをはじめとする各国で愛されています。

海外ではどんな巻き寿司が人気を得ているのでしょうか。
その一端をご紹介します。

裏巻き

海外の巻き寿司といえば、まず裏巻きがあげられます。
裏巻きは海苔に直接具が包まれ、酢飯で巻いたものです。日本人から見ると不思議な裏巻き誕生には、こんな経緯がありました。

寿司がアメリカで知られるようになった当時、黒い紙のような海苔に抵抗を覚えるアメリカ人のために、海苔が見えないよう考案されたものが裏巻きでした。

裏巻きに使われる具材も、カニカマやアボカド、マヨネーズが人気で、いかにも洋風の巻き寿司といった感があります。

それでは、裏巻き寿司にはどんな種類があるのか、いくつかご紹介いたします。

カリフォルニアロール

1970年代、アメリカでSushiが大ブームになった時代に生まれた巻き寿司が、カリフォルニアロールです。
刺し身や海苔に慣れないアメリカ人のために、アボカドやレタス、カニカマを巻いたもので、裏巻きの巻き寿司の代表格。

カリフォルニアロールをベースにして、ボストンロールやアラスカロールといったバリエーションが生まれています。

フィラデルフィアロール

フィラデルフィアロールは、フィラデルフィアチーズが使われている巻き寿司です。
サーモン、きゅうり、アボカドや玉ねぎが主な具になります。

ニューメキシカンロール

ニューメキシコ発祥の巻き寿司は、同地名産の唐辛子が使われています。
味付けは照り焼きソース、まさに和洋折衷の粋といった趣です。

スシブリト

メキシコ料理のブリト―と寿司のフュージョンとして人気があるスシブリト―。
その特徴は、いかにもアメリカ的なサイズにあります。

スシブリト―は直径が10cmになるものも多く、太巻きの最大級といったところ。
肉や野菜、フライやサラダなど、あらゆる食材を包む巻き寿司です。

進化を続ける巻き寿司

18世紀の日本で生まれた巻き寿司は、3世紀近くを経て、国内外で進化を遂げてきました。
巻き寿司は日本だけでも種類が多く、郷土料理にも独自性を持ったタイプが少なくありません。

1970年代以降、巻き寿司はアメリカで西洋化し、アメリカだけではなく世界中に普及してきました。
それぞれの国民性や風土に合った変化を遂げた巻き寿司は、斬新で新鮮な魅力があふれています。

日本が誇る食文化、巻き寿司は現在も進化の真っ最中。
今後もどんな巻き寿司が飛び出すのか、乞うご期待!です。