寿司職人になる方法を徹底解説!年収や海外事情、女性職人の躍進まで
寿司の人気は今や多くの国に広がり、いまや寿司を知らない外国人はいないほどです。
しかし一方、国内外にわたり寿司職人は人手不足で、需要に対して供給が足りていない状況です。
今回は寿司職人になりたい方や寿司職人に興味がある方のために、寿司職人とはどんな職業なのか?具体的にどうすればなれるのか?今後、寿司職人はどのようになっていくのかなど、寿司職人になるために知っておきたい知識について詳しく解説します。
寿司職人という職業
寿司職人とは
寿司職人とは寿司の調理を専門に行う職人のことで、魚介類やその他の食材を使って寿司をつくり、提供するのが主な仕事になります。
寿司職人に求められる知識や技術は多岐にわたり、素材選びから仕込みなどの調理、そして接客など寿司を提供するまでの一連の流れにおけるスキルや経験が求められます。
寿司職人の種類(一般店、高級店、回転寿司)
寿司職人は大別すると以下の3つのカテゴリーに分かれます。
一般店
一般店とは俗にいう回らない寿司屋のことで一概に言えませんが、価格帯でいえば一人1万円以下の寿司屋を指します。
テーブルに着席するスタイルだけでなく、立ち食いスタイル、居酒屋スタイル、小規模チェーンなど多くの形態があり、手軽に楽しめる寿司を提供する寿司屋といえます。
高級店
多くの寿司屋の中でも、特に厳選された食材を用いて品質重視の寿司や体験を提供する寿司屋です。
価格帯も5万円する場合もあるなど高額であり、その分寿司職人の深い知識と高い技術、質の高い接客、店の演出などが求められます。
また、寿司職人になるまでの修行期間が長いことでも知られています。
回転寿司
ベルトコンベアなどを通じて効率的に多くの寿司を提供する寿司屋で、リーズナブルな価格で寿司を気軽に楽しめるため、幅広い客層から支持されています。
寿司職人が握る職人系回転寿司とロボット系回転寿司があり、職人系回転寿司には一般店や高級店出身の職人もいる一方で、ロボット系回転寿司では主にロボットによってつくられた寿司が提供されます。
寿司職人に求められる役割と仕事内容
寿司職人の仕事はそれぞれの形態に応じて、役割や仕事内容が異なります。
下記で一般店、高級店、回転寿司の形態に応じた役割や仕事内容について見ていきましょう。
一般店における寿司職人の役割と仕事内容
一般店の中でも個人経営などの場合は、魚介類の仕入れから調理、提供まで多くの過程を職人が行うことになります。
一方で立ち食い寿司やチェーン店などの場合は、本部などが仕入れなどをまとめて行っている場合も多く、その場合は仕込みや握りなど一部の仕事を担当することが多くなります。
高級店における寿司職人の役割と仕事内容
基本的に高級店では寿司屋に関する業務全般に関して高い技術や深い知識が求められます。
仕入れや仕込み、握りはもちろん、提供方法や接客の仕方などにおいて細部に至るまで高レベルが求めらることが多くあります。
そのため、そうした事情に精通した有名高級店で長く修行した職人が独立して開業するケースが目立ちます。
高級店で寿司職人として働く場合は、修行する若い職人に教えたりするなど指導者としての側面も求められることがあります。
回転寿司における寿司職人の役割と仕事内容
職人系回転寿司の場合
回転寿司の場合の多くはチェーン店であるため、一般店などと同様に仕入れは本部が管理することなどが多くあります。
また、お店によっても違いますが、寿司ネタもすでに切られた状態で送られてくるものも多く、その分仕込みなどの仕事は少なくなります。
握りも仕込みも丁寧さよりスピードが求められるため、一般店から転職してきた場合はこうした条件に適応する必要があります。
ロボット系回転寿司の場合
スシローやくら寿司など大型チェーン店などは多くの場合、業務効率化のためにロボットを使って寿司を提供します。 その場合はアルバイトなど寿司職人ではないスタッフがロボットの調理の一部を補助するため、お店では専門的な寿司職人は不要となります。
寿司職人になるには?必要なスキルや資格
専門職である寿司職人ですが、寿司職人になるためには実は特定の資格は必要ありません。
一方でおいしい寿司を提供するための実践的なスキルが求められることになります。
寿司職人に必要なスキル
寿司職人に必要なスキルつまり知識や技術は、単なる寿司の握り方だけではなく多岐にわたりますが、働く店舗の形態によっても異なります。
例えば、高級店で職人として働く場合は基本的に全てのスキルが必要ですが、仕入れなどが必要のない回転寿司やチェーン店などの場合は、仕入れのスキルは不要です。
ここでは寿司職人に必要なスキルについて説明します。
仕入れスキル
市場で魚介類を仕入れる際に必要な新鮮さや質を見極めるスキルです。
供給業者との信頼関係を築きながら価格交渉をするなど、コミュニケーション能力も重要です。
衛生管理知識
食中毒を防ぐためにも寿司職人にとって衛生管理は重要なスキルです。
調理器具や魚介類などの適切な管理・取り扱い方法はプロにとってマストな知識といえるでしょう。
包丁や調理器具に関する知識
魚を捌く際に使用する包丁は種類により用途が異なります。正しい包丁を選ぶ知識や研ぎ方などの知識は必須です。
また、調理器具の選定と手入れに関する専門知識は、職人技を発揮する基盤となります。
シャリに関する知識
和食と寿司の大きな違いの一つが酢飯です。
米の選定、水加減、炊き方、酢の配合といったシャリに関する知識と技術は、寿司職人にとって欠かせないスキルとなっています。
仕込みスキル
魚や部位ごとの捌き方など、魚介類を適切に捌く技術はもちろんのこと、寿司はそれぞれの寿司ネタを適した方法で下ごしらえする必要があります。
和食の技術
寿司屋では寿司以外のメニューも用意していることがあり、特に高級店では和食技術も必要な場合が多くあります。
魚の皮引きや刺身の薄造り、天ぷらの揚げ方、だし取り、盛り付けなど様々な和食技術が求められます。
寿司の専門技術
寿司の種類についての理解はもちろん、それぞれの寿司ネタごとに適した握り方や仕込みなど技術とセンスが求められます。
にぎり方には本手返し、立て返し、小手返しなどの種類がありますが、知識だけでは取得することはできず、何度も繰り返し練習する必要があります。
接客スキル
特に高級店では接客スキルも重要になってきます。
お客のニーズに応じて食材に関する説明をするなど、親しみやすいサービスを提供する必要があります。
味覚のセンス
味覚は形には見えませんが、素材や味付けに対する高い感受性は、おいしい寿司を提供するために最も重要なスキルといえるでしょう。
実際に多くの優れた料理人は色々なおいしい料理を研究して味覚を磨いています。
手際の良さ
寿司職人だけではなく、飲食店では効率的に作業を進めるために手際の良さが求められます。
繁忙時でも顧客を待たせないためのスピード感と慌ただしさを感じさせないバランス感は重要です。
マネジメントスキル
寿司屋では職人が発言権があることも多く、ホールやキッチンスタッフへの指示出しをすることもあります。
他のスタッフとの円滑な連携が効率的な業務運営に役立ちます。
寿司職人に役立つ資格
寿司職人として必須の資格はありませんが、以下のような資格があると、信頼性やスキルの証明につながります。
衛生管理者資格
食品衛生の管理を担当するための資格で、寿司屋をはじめとした飲食店では、店舗に食品衛生責任者が最低一人はいなければならないため、あると寿司職人として有利に働くことがあります。
一日講習会に参加すれば取得可能な資格ですが、特に独立開業するときはマストな場合もあります。
調理師免許
調理技術習得の証明となる調理師免許は食品衛生責任者資格の講習受講が免除になるというメリットもあり、寿司職人としても持っていれば寿司職人としても有利に働きます。
調理師免許を取得するには、実務経験を積んだ上で調理師試験に合格する方法と専門学校などで学んで取得する方法があります。
もちろんあれば良い資格ですが、「週4日以上かつ1日6時間以上」という勤務条件を満たしていれば、調理師試験を受けることができるので、寿司屋で働きながら取得するというのもおすすめの方法です。
寿司職人になる3つの方法
方法1:寿司屋で見習いとして働く
多くの人が思いつく方法ですが、寿司屋で見習いとして働くのが最もオーソドックスな方法といえるでしょう。
寿司屋といっても、個人経営の店もあればチェーン店もあり、どのような店が最も修業に適しているのか、一概に決めるのは難しいところです。
一般的には高級店で修業するのが良いと言われています。
高級店ほど、高度な技術や貴重な食材の扱い方など、全ての工程を高いレベルで学ぶことのできるからです。
しかし、こうしたお店では実際に魚を捌いたり握ったりする場で長い年月がかかることも多く、入店自体も難しいというデメリットがあります。
働く条件はお店次第なので、自分にあった条件なのか、飲食の求人サイトを見たり、直接店に問い合わせてみるのがよいでしょう。
寿司屋で修業するメリット
- 給料を貰いながら技術を覚えられる
- プロとしての自覚を持ちやすい
- 接客の仕方を学ぶことができる
- 技術だけではなく、経営ノウハウを学べる
寿司屋で働くメリットはなんと言っても、給料をもらいながらいろんなことを教えてもらえるということでしょう。
手取り足取り教えてもらえなくても、仕入れや仕込み、接客、お店の仕組みなど、一連の流れを内側から見ることができるだけでも十分にためになります。
一流店であれば、そのお店で学んだこと自体がブランド価値がありますので、開店時に優位に働くでしょう。
また、関係性がよければ独立した時に暖簾分けという形などで応援してもらえたりすることもあります。
こうした寿司屋で働いた時に得れる情報は後から教えてもらうのは非常に難しく、寿司屋を開店するつもりの人はお店にいる間は詳細にメモをするなど、しっかり研究しておくことがオススメです。
寿司屋で修業するデメリット
- 技術を学ぶのに長い期間を要する
- 自分の時間をとりづらい
- 肉体的または精神的に負担を感じる可能性がある
- 一方で寿司屋で修行するデメリットもあります。
一番は技術習得までの時間と言えるでしょう。
基本的に1年や2年ですぐにお客の前で寿司を握れるようになるわけではありません。
高級店ほど様々な点で苦労する傾向があり、最初は雑用から始まり、食材をまともに触らせて貰えるようになるだけで、数年かかることも少なくありません。
これは寿司の世界に限らず、技術職全般に言える事ですが、上下関係が厳しく、体育会系の雰囲気が強い店も多いので、慣れない人は一人前になるまで苦心することも多くあります。
働く店を選ぶ際に気をつけたいポイント
- どのような知識や技術を学べるか
- 店長、先輩はどんな人が働いているか
- 待遇
職人は厳しい世界です。その道に入る事は容易でも、一人前になれるのはほんの僅かな人だけと言われています。
最初は給料よりも何を学べるのかという点にフォーカスした方いいでしょう。
ポイントは給料にこだわらないこと。
なんでもそうですが、特に技術職では最初の給料はどの職業も安いので、何を学べるかという点に絞って考えるのが一番大事です。
「学びに行ってついでにお金ももらえる」というくらいの感覚がちょうど良いかもしれません。
また、一人前になるために情熱も大切ですが、自分のペースで続けられなければ意味がありません。
自分が少しでも長く続けられそうだと思う店で働くことがポイントといえるでしょう。
方法2:寿司の専門学校に通う
寿司屋における修業以外では、寿司職人の専門学校に通う方法があります。
少しでも早く寿司を握れるようになって海外で働きたい、自分でお店を開きたい、大型チェーン店で効率よく働きたいという人に向いています。
昔は寿司職人になるために専門学校に行くという選択肢はありませんでしたが、今は時代の推移とともに専門学校の数も増え、質の高い授業を受けられるようになっています。講師は経験者や現役のプロがほとんどで、実践的な技術を学ぶことができます。
寿司の専門学校に通うメリット
- 卒業まで時間がかからない
- 最初から寿司を握る練習ができる
- 同期が多く、切磋琢磨しやすい環境
- 就職に有利
- 怒られにくい
あらかじめ授業が決められており、カリキュラムに沿って授業を進めていくため、現場で働くよりプレッシャーを感じにくい傾向にあります。
授業は寿司を握れるようになることがメインで合理的に技術を学べます。
技術の習得や、就職について学校がフォローしてくれることもポイントですね。
また、学校によって多少方針は違いますが、基本的にはお金を払って教えてもらうので、働きながら学ぶ場合より怒られるということはほとんどないので、精神的にはかなり楽といえるでしょう。
卒業後は有名店は厳しいかもしれませんが、大手チェーン店や回転寿司などで採用されやすくなるので、学校で学んだ後に実際のお店で少し働いてから、自分のお店を開くというのも一つの方法です。
最近では海外から寿司の専門学校に通う外国人も増えており、そのため、長期ビザの必要ない3ヶ月で一気に学ぶ学校やコースも増えています。
良くも悪くも海外では日本ほど正確で熟練した技術は求められず、それよりも演出などの側面が大事になってきます。
また、海外での寿司職人の求人需要や寿司自体の需要はかなり高く、手っ取り早く知識を身につけて海外で就職!寿司屋を開業して一攫千金!と思ってる方には寿司屋で働いて学ぶよりも最適な方法といえるでしょう。
寿司の専門学校に通うデメリット
- 学費が必要
- 練習回数が少ない
- 卒業後、即戦力になれるわけではない
学校に通うわけですから、もちろん学費がかかってしまいます。
専門学校の学費は約3カ月コースで50万〜100万円前後です。
また、学費を払って学んでもすぐにプロになれるわけではありません。
体型的に学べるとはいえ、全てのことを反復練習するわけではないので、お店で働く場合のように体にしみ込ませるのは難しいと言えるでしょう。
卒業後は学校によっては寿司屋への就職斡旋を行っているところもありますが、卒業しても基礎的な技術と知識を学んだだけですので、実際に就職したりお店を開いたりするには、自分で練習して試行錯誤する必要があります。
他の世界同様、最後は自分次第という形にはなりますが、効率よく寿司に関する技術を体系的に学べるのはかつてはなかった現代ならではの手段です。
寿司の専門学校は魅力的な選択肢の一つといえるでしょう。
方法3:独学で寿司を学ぶ
えっ寿司を独学で??と思う方が多いと思いますが、実は海外ではかなりよくこの方法が用いられます。
昔は寿司職人になるための情報を得るのは非常に難しかったのですが、現在ではYouTubeを始め、インターネット上で様々な寿司の握り方や魚の捌き方などの動画があり、技術を実際に見ながらじっくり学ぶことができます。
また、寿司の技術に関する本もかなり多く出ているので、ある程度独学で学ぶことができる時代になっているのです。
実際に筆者もアジアで口コミ評価の高い寿司屋へ行ったのですが、その時にどこで修行したか尋ねたところ、YouTubeで勉強して、あとはいろんな日本人の高級店に行って味や必要なことを研究したと言っていました。
その方は現地の方でしたが、味も評判通り美味しくびっくりした記憶が残っています。
その後も似たような寿司屋に多く遭遇したので、海外の外国人の個人経営の寿司屋はこのパターンが多いようです。
やる気と研究心があればなんでもできるということですが、動画メディアの時代が到来した流れもあって、才能があって自分で道を切り拓いていける人には選択肢の一つといえるでしょう。
寿司を独学で学ぶメリット
- お金がかからない
- 時間や場所が自由
- 動画などを見ながら、じっくり練習できる
- 人間関係などの煩わしさがない
道具などは買う必要がありますが、自分で勉強するのでお金は学校に行く場合より圧倒的に少なくすみます。
どこかに行くわけでもないので、場所や時間を選べるのも大きなメリットで動画を見ながらじっくり学べるのも良い点でしょう。
また、学校には先生や他の生徒いるのである程度気を使う必要はありますが、自分では学ぶ場合は当然なんの気遣いも必要ありません。
頭を下げて誰かに教えてもらうのが苦手な方にも向いています。
ただし、一般的にカウンターで働くことの多い寿司職人はある程度の接客も必要になってくるので、多少のコミニュケーション力は必要といえるでしょう。
いずれにしても、基本的に不必要なものはすべてカットできるので、どんな味がいいのか、どんな商売をすると良いのかなど、自分でどんどん研究して進んでいける人に向いている方法と言えるでしょう。
寿司を独学で学ぶデメリット
- 誰も教えてくれないので、何が正しいか分かりづらい
- モチベーションを保つのが難しい
- ある程度は才能が必要
寿司に限らないですが、独学とは難しいものです。
いろいろな動画や本を見て勉強して練習したり、いろんなお店に通って研究したりする必要があるでしょう。また、すべて自分で決めないといけない自由さは多くの人にとっては、継続が難しい原因ともなるでしょう。
また、才能と言ってしまうと身も蓋もないですが、寿司屋を絶対に開きたいという強い意志、味を見極めるセンス、自分の知らない事を研究する力、開店戦略を考える経営力など、いろんな才能が必要となるでしょう。
とはいえ、それでも海外などではそもそも寿司の定義が曖昧なので、強い意志とある程度才能があって海外で開店したい方にはこの方法も選択肢の一つといえます。海外は本格的な寿司職人が少ないため日本人の寿司職人は重宝されるケースも多く、現地で直接就職の交渉をするのも効果的でしょう。
寿司職人になるための修業期間
では、寿司を学ぶのは方法によってどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
必ずしも時間がかかることが悪いことではありませんが、まずはそれぞれの方法を比べてみましょう!
寿司屋で働く場合は、約10年
寿司業界では「シャリ炊き3年、合わせ5年、握り一生」という言葉があります。
これは、寿司ができるまでに大変な技術や努力が隠れていることを意味しています。
さらに魚の捌き方や食材の扱い方を合わせたら10年はかかるでしょう。
店によっては、10年かからずに職人としてデビューできる場合もありますが、それでも5年以上はかかると思っていた方がいいです。
最初は先輩より早く出社して掃除や開店の準備、営業中は皿洗いを主にするのが当たり前の世界。
簡単には食材を触らせて貰えません。けれども、基礎から習う事によって、職人として一生使えるスキルを身につけることができるのです。
また、すぐに技術を教えてもらえないとしても寿司屋で働くことによって一連の流れを体で知ることになり、それは自分で寿司屋を開店する際には大きな武器になるでしょう。一流店で学べば、そこのお店出身であることは開店時に優位に働きますし、独立をバックアップしてもらえることもあるでしょう。
このように寿司屋で修行するのは大変な一方、確固たる力がつくという強みがありますので、時間がかることは認識する必要がありますが、一概にそれがマイナスとはいえませんので注意が必要です。
目的意識を持ちながら一生懸命やれば、かかった労力以上のプラスを得ることができるでしょう。
専門学校に通う場合は数カ月
専門学校のコースによって差はありますが、概ね数カ月で卒業する学校がほとんどです。
学ぶ内容は寿司ネタの仕込みから握りの技術ま多岐に渡ります。
寿司の専門学校で学んだ人は、卒業してから海外で寿司屋を開いたり、高い技術を必要としない大型チェーン店で働いたり、実店舗で下積みを始める人が多いようです。
寿司屋で働くよりも効率的に短期間で知りたい技術を得れるのは大きなプラスポイントですが、実際のお店の雰囲気や開店ノウハウなどは自分で研究する必要があります。
独学の場合は自分次第だが、開業場所にもよる
言わずもがですが、独学にかかる時間はすべて自分次第です。ただ、求められるレベルはどこで開店するかによって大きく異なるでしょう。日本国内で開くのであれば、日本人は寿司をよく知っているので、難易度は非常に高くなり、独学だけでは開店は厳しいかもしれません。
逆に寿司屋の少ない現地人の寿司屋だらけの海外で開く場合は、極端な話、形になってれば始めることができます。それが良いかどうか別として、その国の人がどんな寿司を好むのか、どういうパフォーマンスが受けるのかなど、ブランディングを含めて経営センスが求められることになるでしょう。
寿司職人の1日の流れ
修行や就学、独学で寿司職人としての技術を身につけた後は、晴れて寿司屋に就職したり、開業したりできるようになります。
ここでは、一般店や高級店で働く場合と大型チェーン店・回転寿司で働く場合に分けて、寿司職人の1日について流れ見ていきましょう。
もちろんお店によって千差万別ですので、この流れとは異なる場合もあります。
一般店や高級店で働く場合
高級店や一般店で働く場合は、魚の仕入れや仕込み、握り、接客、片付けや掃除など寿司を提供するために必要な業務をすべて行う必要があります。
ただし、複数の職人がいる寿司屋では、朝早くから行う魚の仕入れや仕込みは当番制で担当するケースもあるでしょう。
魚の仕入れでは、朝4時ごろに魚市場へ出向き顔見知りの仲卸などをまわります。
状態のよい旬の魚を仕入れるためには、魚の状態を見分けられる目利きの技術を身につける必要があります。
仕込みが始まるのは8時ごろからです。3時間程度かけて下ごしらえを行います。
捌きや酢締め、煮切りづくり、包丁入れ、卵焼きづくりなどの仕事は、職人の腕の見せどころであり、仕事のできによって職人の腕が判断されると言われるほど大事な作業です。
仕込みが終わる11時になると、いよいよ店の開店時間です。
その後、たいていの寿司屋では15時になると一度閉店し、夜の部に向けた仕込みが始ります。
食事や休憩もこの時間にとることになるでしょう。
夜の部は17時ごろから始まります。
高級店では、お客にゆっくりと寿司を楽しんでもらうために、しっかりとコミュニケーションをとりながらネタの好みを聞いたりシャリやネタの大きさ、提供するスピードを調整したりと付加価値を演出します。
22時に閉店した後は、片付けや掃除をして一日の業務が終了です。
回転寿司や大型チェーン店で働く場合
回転寿司や大型チェーン店には、職人によって握られた寿司を出すお店とロボットを使って握った寿司を出す店舗があり、業務内容は大きく異なります。
例えば、元禄寿司やにぎり長次郎などは、回転寿司チェーンでありながら、客の目の前で職人が技を披露します。
がってん寿司にはロボットを使用する店も存在し、また海外店舗では、アルバイトが寿司を握るケースもありますが、多くの店では職人が寿司を握っています。
このような昔ながらの職人スタイルの回転寿司店では、寿司ネタは既にカットされてパック入りの状態のものもあるものの、ネタによっては仕込み段階から魚を捌くこともあり、場合によっては仕入れも行います。
さらに、回転寿司好きの常連客も多いので、そうしたお客との会話スキルも磨くことができます。
高級店ほどの拘りは少ないですが、高級店と違い、客前に出るハードルが低いため、実践力を身につけることが可能です。
海外で寿司店を開業するなど、厳密なスキルが求められない場合には、職人スタイルの回転寿司で実力を磨くのも一つの選択肢と言えます。
一方、スシローやくら寿司のようなロボット系回転寿司では、ロボットが寿司を作り、ネタもほぼパッケージとなっているため、基本的に職人は不在で、アルバイトが寿司ロボットの操作やロボットができない作業を補完する形になっています。
そのため、こうした大型回転寿司チェーン店で寿司職人としてのスキルを習得することは、非常に困難と言えるでしょう。
寿司職人の年収目安
寿司職人として働く道を選ぶ際、気になるのが給与に関する情報でしょう。
寿司は国際的にも愛される食品であるため、国内外で多岐にわたるお店で寿司職人が求められています。
一般店から高級店、回転寿司など、様々なレベルの店舗が存在するため、経験やスキルに応じたポジションを見つけてみましょう。
見習いなどの初心者
年収200万円~350万円。
技術の習得を重視し、低めの給与設定となることが一般的です。
ある程度経験のある職人
年収400万円~600万円。
スキルと経験に応じて昇給。
経験値の高い職人
年収600万円~800万円。
店長候補や高級店勤務など。
上記は東京の場合の募集条件なので、地方になるとやや下がる傾向にあります。
福利厚生は店舗により異なりますが、現在は昔と異なりブラックな環境も少なくなってきています。
健康保険、厚生年金などの基本的な福利厚生が一般的です。
寿司職人の海外需要と女性躍進、今後の展望など
寿司職人の道は日本国内だけに留まらず、世界中で活躍できる可能性を秘めています。
また、近年の社会の変化に伴い、女性の寿司職人も増加しています。
寿司職人の海外需要の高まり
海外での寿司レストランの開業
いまや世界のSUSHIとなった寿司は世界中で人気があり、多くの国で高く評価されています。
特に都市部では寿司の需要はかなり高く、寿司職人が活躍する場が広がっており、日本人というだけでも引っ張りだことなっています。
また、こうした寿司需要の高い海外の地域では、日本人以外の海外の人々による寿司レストランの開業が増えており、日本人経営の寿司レストランは数としては少ない傾向にあります。
こうした中で寿司の技術をある程度もった日本人が開業した場合、日本人というだけでも集客が見込める状況ですので、工夫と努力を重ねれば大きく成功するケースが多くあります。
屋台やトラックでの開業など日本ではない形での寿司屋開業も外国ならではです。
海外で寿司職人として働く
アメリカでは、ある程度経験のある寿司職人の場合、下記の例のように年収1000万円を超えのはごく普通になっています。
<アメリカでの求人例>
Executive Sushi Chef:Kalahari Resorts & Conventions
$70,000 – $90,000 a year
Full-time
開業資金がない場合は、まずはこうしたお店で資金が貯まるまで働いて現地の状況を調査しながら、開業するというのも良い選択肢でしょう。
増加する女性の寿司職人
寿司職人の世界は伝統的に男性が主流でしたが、最近では女性職人の数も増加しています。
以前は「女性は男性よりも手の温度が高いため、寿司の鮮度が損なわれる」といった見解があり、女性が寿司職人として活躍するのは困難な環境でした。
実際に多くのミシュラン星を獲得した寿司レストランの中では、女性職人が寿司を握っている店舗は少ないという現実も存在しています。
しかし、最近では手の平の温度に関しては、男女の違いよりも個人差の方が影響が大きいことが示されています。
た、握り寿司の技術を高めることで、これらの懸念事項は克服可能であると言われています。
現在では、女性ならではの繊細なセンスや美的感覚が活かされることも多く、女性寿司職人は増加しています。
寿司学校を卒業し、独立開業して成功している女性職人の姿も、今や珍しくなくなってきました。
女性職人の増加は、寿司文化がグローバルを含めたより広い層に開かれつつあることを示しており、寿司文化の新しい風が吹いてる証といえるでしょう。
今後も拡大が予測されるSUSHIと寿司職人の需要
寿司は世界中で愛される食文化となっており、コロナ禍の終息と共にその人気は一層加速しています。
外国人による寿司専門学校への入学も増えており、ますます多くの人々が寿司職人への道を選ぶようになっています。
特に海外では、寿司職人の給料が日本の2倍から2.5倍にも上ると言われ、寿司職人にとって、世界展開が容易でチャンスの大きい職業となっています。
こうした世界中での就職機会、独立開業のチャンス、女性職人の活躍の増加、そして寿司文化の一層の普及といった展開は、今後も寿司職人という職業が広がりを見せる要因となるでしょう。
寿司職人という職業は国内外での多岐にわたるチャンスを掴む大きな一つの選択肢となっています。