寿司をすべての人へ。寿司ウォーカーは日本最大級の寿司メディアです
寿司辞典

Sushwalker

くら寿司USAが予想を上回る好調!今後の米国における展望と課題

寿司検定

日本を代表するロボット系回転寿司チェーンの雄、くら寿司は米国にもチェーン展開を広げ、止まらない勢いだ。

くら寿司USAは2023年第3四半期の業績が予想を上回る好成績となったが、売上高は4,920万ドル(本記事公開時のレートで約70億円)で、前年同期の3,800万ドルを上回り、営業利益は前年同期の 50 万ドルに対して130 万ドルとなり、営業利益率は 2.7% と前年同期の 1.2% の2倍以上に増加した。

これらの主要因は同社のアメリカにおける新店舗の拡大とメニュー価格の引き上げと考えられている。
くら寿司USAは2023年に9~11店舗ほどの新規開店を行い、年間売上高は約1億8700万ドルから1億8900万ドルを見込んでいる。

また、提供価格は地域によって異なるが、値上げ後の一皿あたりの価格は3.15〜3.75ドル前後であり、本記事公開時のレートでおおよそ440円〜530円と日本のくら寿司の115円と165円と比較すると実に4〜5倍ほどの価格となっており、日本とアメリカの物価差を考えてもかなり高額に設定されている。

これらの要因により高い利益率を実現しているのは想像に難くないだろう。

くら寿司USAの強力な競争力と課題

くら寿司USAの米国における店舗数は現在47店舗であるため、米国では大規模なチェーンとはいえないが、24%という高い利益率を維持しており、これは高い利益率で知られるマクドナルドの15%よりも高く、かなり高い競争力を有しているといえる。

その圧倒的な競争力の背景には、高い回転率と高めの単価設定、アメリカでは特に特徴的な回転寿司ビジネスモデル、そして極力人力を廃したロボット化によるテクノロジーの力がある。
寿司の本場である日本のレストランという日本ブランドの影響も決して小さくはないだろう。

今後更なる拡大を行うには内陸地への魚介類輸送などの課題が指摘されてもいるが、日本本土の親会社の強力なサポートを受けていることや、先に開店した店舗など米国内での成功モデルも有しているため、この課題は解決されるだろうと考えられる。

また、今年の4月頃まで行われたくら寿司USAの約6,400万ドルの株式売出しは、潜在的な株式価値の希薄化につながる懸念材料と考える声もあったが、くら寿司USAの成長ポテンシャルの大きさから、その影響は最小限に抑えられると考えられている。

調達資金が有効活用され、収益増加につながるのであれば、それは大きな懸念材料とは言えないからだ。
さらに、くら寿司USAの強力な成長性や利益率、今後の拡大計画などを考慮すると、絶対とはいえないが、むしろ成長ポテンシャルの方が高いと考えられそうだ。

くら寿司USAの今後の米国における展望と課題

くら寿司USAの将来の展望を考慮する際、いくつかのリスクを指摘する声もある。

一つは米国全体の経済状況や消費トレンドの変化が業績に影響を及ぼす可能性があるという声だ。 筆者の個人的な見解としては、米国の経済状況については不透明な部分があるが、米国におけるSUSHI熱はむしろ高まると考えており、その懸念材料は大きくないといえるだろう。

もう一つの指摘は、くら寿司USAは高い利益率を維持しているが、メニュー価格が高いことから成長ポテンシャルを制約しているという声だ。これに関しては筆者もある程度同意できる。
高単価は高利益にはつながるが、拡大するには足枷になる場合があり、今後より広い顧客層にアピールして拡大や認知を広げるためには、価格改定や低価格帯の新商品開発などが必要になる可能性はあるだろう。

いずれにせよ、くら寿司グループは台湾における成功もあり、グローバル展開に今後かなり力を入れていくはずであり、筆者としては基本的にはくら寿司USAには相当な成長余地があると考えている。

しかし、先日紹介した同じくロボット系回転寿司チェーンの「はま寿司」を有するゼンショーグループによる米国寿司大手スノーフォックスの巨額買収など、同程度の競争力を持った日本の競合企業との本格的な闘いも始まったばかりであり、まだまだ予断を許すことはできなそうだ。

寿司検定

参考資料