日本人に愛されるちらし寿司とは?由来からレシピまで紹介!
日本の家庭の味のひとつとして愛されているちらし寿司。
地域や家庭によって特徴が異なるちらし寿司は、バリエーションが多い寿司です。
ちらし寿司は、どのように生まれて発展してきたのでしょうか。
歴史から各地の郷土料理の特徴まで、ちらし寿司について詳しく解説します。
ちらし寿司とは?
ちらし寿司には、さまざまな種類があります。
一般的なちらし寿司の定義は「酢飯の上に各種の具を乗せたもの」です。また具材を酢飯にかきまぜたタイプは厳密には「五目寿司」ですが、ちらし寿司として扱われることも多いのが実情です。
ちらし寿司の具材は刺身、茹で海老、かまぼこ、卵焼き、かんぴょうがよく知られていますが、関東と関西では伝統的なちらし寿司にも相違があるのです。
以上はもちろん一般論であり、家庭や地域によってそれぞれの作り方があることは言うまでもありません。
それぞれの地域の特産品を使ったり、行事に合わせて具材を選んだり、多彩なちらし寿司が存在します。
また伝統的にちらし寿司は、祭事やお祝い、お盆など、人が集まる機会に食べることが多い料理でもあります。
ちらし寿司の歴史・由来
握り寿司よりも早く登場したちらし寿司
ちらし寿司はいつ頃誕生したのでしょうか。
仕込んでから食べるまでに日数を要した熟れ寿司の文化に革命がおこり、炊いたご飯を使う寿司が登場が登場したのは、18世紀も終わりの天明年間でした。
ちらし寿司の前身とされている箱寿司も、この流れの中で誕生します。箱寿司とは、木箱に酢飯を詰めて具材を乗せたものを指します。
天明7年に刊行された『七十五日』という本は当時の店の商標を集めたものですが、この中に箱寿司を扱った寿司屋があることがわかっています。
コハダや卵焼きを使ったこの箱寿司は、文政年間に登場する握り寿司よりも発祥が早く、一世を風靡した江戸の寿司の先駆けといった趣があります。
ちらし寿司の名の由来
酢飯に混ぜる具材を「目(もく)」と呼んだことから、五目寿司という名前があることは文献からも明らかですが、「ちらし寿司」という名の由来は、諸説がありハッキリしない点も多くあります不明です。
嘉永6年(1853年)に発刊された『守貞謾稿』にはすでに「散らし」と「五目」という言葉が残されているため、箱寿司から発展したちらし寿司は19世紀の半ばにはよく知られていたというのが定説です。
また「ちらし」という言葉を嫌い、「おこし寿司」と呼ぶケースもありました。これは食べる際に、箸で酢飯を起こすことから生まれた言葉です。
女性や大名に愛されたちらし寿司
前述の『守貞謾稿』によれば、嘉永時代の寿司屋の多くは握りずしが主流となり、ちらし寿司の人気は廃れていたと記されています。
一方で、頬張る握り寿司よりも箸を使って食べられるちらし寿司は、品のよい寿司として女性客に人気でした。握りずしのような「粋」には欠けるものの、木箱にきれいに詰められたちらし寿司は大名家族にも上々の人気を誇りました。明治の初めには、ちらし寿司の上に各家の紋所を切り抜いた笹の葉を乗せた高級版が存在したこともわかっています。
丼物のひとつとしても人気のちらし寿司
寿司といえば握りをイメージすることが多く、握り寿司を愛する人にはちらし寿司の人気はイマイチ。
理由は、握り寿司を作る際に余った切れ端をちらし寿司の具にしているというイメージがあるためです。
しかし一流の寿司屋では、ちらし寿司の具にも歴としたものを使用し、見た目の美しさにもこだわります。
自宅で作ることができる丼物としても人気があり、ちらし寿司は日本の食卓を飾る定番メニューとして定着したわけです。
郷土料理として残るちらし寿司
18世紀に生まれた箱寿司を起源とするちらし寿司は、日本の各地に郷土料理という形でも残っています。
ちらし寿司は、関東と関西では特徴を異にします。
関東では蓋つきの器に酢飯を入れ、その上に具材をきれいに乗せます。
関西ではいわゆる五目寿司がちらし寿司と呼ばれることが多く、酢飯に具材を混ぜた後、錦糸卵や海苔の細切りがトッピングされています。
こうした相違に加えて、各地には特徴のある郷土料理としてのちらし寿司があります。
よく知られたちらし寿司を紹介しましょう。
岡山ばら寿司(まつり寿司)
海の幸と山の幸をふんだんに使った岡山のちらし寿司は、「ばら寿司」「まつり寿司」などと呼ばれることもります。
名君として有名な岡山藩主池田光政が節倹令を発し、日常的な食生活が質素になったことから、祭りなどの機会に作るちらし寿司が逆に豪華になったという言い伝えもあります。
酢でしめた鰆、海老、イカ、穴子、かまぼこ、しいたけ、さやえんどう、錦糸卵、ショウガなどが岡山ずしの主な具材です。お祭りやお盆など、人が集まる機会に食べる習慣があります。
ばら寿司
若狭湾で採れる鯖を材料に作られるばら寿司は、京都の郷土料理です。
足が速い鯖を美味しく食べるために、京都では焼き鯖にしたうえでそぼろ状にし、紅生姜や錦糸卵とともに酢飯に乗せて食べる習慣があります。
正月や結婚式などの機会に食べる料理として、今も健在です。
みかん寿司
愛媛県のみかん寿司は、特産のみかんの果汁を米酢の代わりに使ったちらし寿司です。
魚やシイタケにんじんやれんこんを具材とするだけではなく、みかんの皮も使うフルーティーなちらし寿司。お祝いの席で供されるみかん寿司は、季節によってはかぼすなどの柑橘類を使うこともあります。愛媛の学校給食にも登場するほど、地元では愛されるちらし寿司です。
ひな祭りにちらし寿司を食べるのはなぜか
ちらし寿司は、ひな祭りの定番料理です。
なぜひな祭りにちらしずしを食べるのでしょうか。
実はひな祭りとちらし寿司の関連性は、以下のような理由があるといわれています。
一説によると、もともとお祝いの席で食べることが多かったちらし寿司は、見た目も華やかで女の子の節句に相応しいとされたためといわれています。
ちらし寿司の具になることが多い海老やれんこんは、長寿や未来を思わせる縁起ものであったため、ひな祭りに食べられるようになった要素という説もあります。
この風習は大正時代以降に全国的に広まり、現在にいたります。
ちらし寿司レシピ5選
地域や家庭ごとにレシピが異なるちらし寿司。
ここでは、家庭でも美味しくできるちらし寿司レシピ5選を紹介しましょう。
【ひな祭り料理】簡単おいしい!ちらし寿司の作り方!
ひな祭りのちらし寿司の作り方をわかりやすく紹介しています。
簡単な手順でできるため、初心者でも挑戦しやすい内容です。
見た目も華やかで、ひな祭りの雰囲気にぴったり!
【はなわ家の昼ごはん】お家で簡単!具沢山「五目ちらし寿司
お家で簡単に作れる具沢山の五目ちらし寿司の作り方を紹介しています。
材料と手順が詳しく説明されており、初めて挑戦する人でも分かりやすい内容。
家庭で楽しい食事の一つとしてぜひ挑戦してみてください。
【Girls festival】我が家のひな祭り料理を紹介します!
家庭の雰囲気を感じながら、自宅で楽しめるひな祭りの料理を披露しています。
ひな祭りの雰囲気を家族や友人と共有しながら、美味しいちらし寿司にチャレンジしてみてください。
パッと華やか! いろどり具材のばらちらし寿司のレシピ
いろどり豊かな具材を使ったばらちらし寿司の作り方です。
ビジュアル的にも鮮やかで、見た目にも楽しい一品。
具材の組み合わせや盛り付けが華やかさを引き立てています。
ひな祭りに!簡単に作れるちらし寿司ケーキ
ひな祭りにぴったりなちらし寿司ケーキの作り方です。
通常のちらし寿司をケーキ風に仕上げることで、見た目が一段と華やかになります。
手順も分かりやすく説明されていて初心者でも挑戦しやすいので、ぜひ挑戦してみてください。
オンラインで購入可能!評判のちらし寿司
ちらし寿司は、外食するよりも自宅で作ることが多いメニュー。
美味しく作ることができるちらし寿司関連の商品は、オンラインで購入可能です。
その中から人気の商品を紹介します。
金沢浅田屋 五目ちらし寿司の素
海の幸山の幸いずれも美味しい金沢の老舗「浅田屋」。
浅田屋が販売する五目ちらしの素は、まろやかな味付けの具材が特徴。
自宅でも一流店の味が楽しめます。
藤村屋 純京風ちらし寿司の素
京都祇園の地で創業170年余、藤村屋による純京風ちらし寿司の素は、京風の上品な味付けでリピーターが多い商品。
ちりめんじゃこ入りという珍しい同商品、決してお安くはないものの納得の美味を堪能できます。
仕出し米長 海鮮ちらし寿司
オンラインで購入できる寿司店として人気の仕出し米長では、お祝いの席に出しても恥ずかしくない海鮮寿司を購入できます。
各種の魚介を自宅で処理する必要がないのがありがたいところ。その豪華ぶりで会席者を満足させることまちがいなしです。
仕出し米長 カニちらし寿司
魚介の王者ともいうべきかにをふんだんに使ったゴージャスなちらし寿司も、仕出し米長の人気商品
日本海産のカニとカニ味噌は、特別な日に相応しい最高の美味。
イクラと錦糸卵のトッピングで、見た目も超豪華版のちらし寿司の極みです。
仕出し米長 キングサーモン親子ちらし寿司
キングサーモンといくらをふんだんに使った親子ちらし寿司です。
ご飯の上にまぶされた大葉の香りと、脂がのったサーモン、そして食感抜群のイクラのハーモニーは、老若男女に愛される逸品です。
参考資料
・小学館日本大百科全書「ちらしずし」
・小学館日本の歳時記「雛祭」
・永瀬牙之輔著『すし通』2016年,土曜社刊
まつりずし/ばらずし 岡山県 | うちの郷土料理:農林水産省
みかんずし 愛媛県 | うちの郷土料理:農林水産省
ばらずし 京都府 | うちの郷土料理:農林水産省