知ってると得する!旬の寿司ネタ〜春編(3月・4月・5月)
一年中食されている寿司ですが、魚は取れる時期によって旬があります。
旬の時期に食べる魚は普段食べる魚よりおいしいだけでなく、栄養も豊富。どうせ同じ魚を食べるなら、時期に合わせて食べたいですよね。
今回は、春が旬の寿司ネタを紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください!
カツオ(春:3月~6月、秋:9月~10月)
鰹は1年の間に2回、旬が来ます。春から夏にかけて九州から本州中部まで北上する「初鰹(はつがつお)」、秋に南下する「戻り鰹」があり、初鰹は江戸時代に一番人気だったそうです。冷蔵庫などない江戸時代は鮮度が落ちやすく、鰹は刺身で食べていました。
鰹の寿司ができたのは昭和になってから。初鰹は赤みの部分が多く、サッパリした味わいと爽やかな酸味が特徴的。一方、戻り鰹は脂がのった濃厚な味わいがあります。同じ鰹でも脂ののり方に変化があるため、春と秋とで異なった楽しみ方ができるのです。春の初ガツオは味わいがサッパリしているだけでなく、脂肪が少ない分、ヘルシーともいえます。
カスゴ(3月~5月)
鯛(たい)の幼魚をかすごと呼びます。体長15センチほどで、春子の旬は春から夏場にかけて。幼魚のため、刺身や塩焼きでは味が淡白すぎて寿司ネタとして広まりました。
江戸前寿司の塩と酢で締める伝統の技を施すことによって濃厚な旨みがひきだされます。絞められた春子は、さらに昆布で締めると一層旨みをだし、何とも言えない二重の旨みで人気を呼んでいます。
サヨリ(3月~5月)
脂がのるこの季節のサヨリは外せません。本州でも南側でよく獲れる魚で、体の大きさで呼び名が変わり、小さいものを「エンピツ」、それより大きくて太い40センチくらいの大きさになったものを「カンヌキ」といいます。
品のある香りと歯切れのよい食感が特徴で、春の中でも早い時期が旬です。
後半になると卵を産むため味が落ちます。卵を産む前でも脂肪分が少なく、サッパリしていてタンパク質も豊富なネタであることから、子どもからお年寄りまで年代を問わず楽しめる寿司ネタといえます。
シラウオ(1月~3月)
半透明の小さな魚の白魚は、小さいためプチっと弾ける食感で、甘味とほんのりした苦みを楽しむことができます。産卵で川へ上ることから、河口近くや海水と淡水が混ざった汽水湖で獲れる魚でもあり、島根県の宍道湖や茨城県の霞ケ浦などで漁が盛んです。
江戸時代は将軍家へ上納され、市場にはなかなか出回らない貴重な魚でした。旬の終り頃になると、たっぷりと卵を抱え、卵の旨みも味わうことができます。
マダイ(11月~5月)
白身魚の王様とも呼べる鯛は、江戸時代、将軍家の祝いの席に欠かせなかった高級魚です。明治時代になってから養殖の研究がはじまり、1980年代には本格的に養殖が普及します。現在の鯛の8割は養殖で、天然物は弾力ある身に特徴があり、一般では手が出せない超高級魚となりました。
旬は産卵を控えて沿岸に近づく冬場から4月の終り頃までで、甘みのある脂の旨さと艶やかな美しい姿が魅力です。産卵が終わると味が落ちてしまうため、その前に楽しむのが良いでしょう。
桜の季節に合わせて獲れることから「桜鯛」と呼ばれることも。うっすらと桜色になった鯛の身は、春にはピッタリですね。脂肪が少なくタンパク質が豊富で、消化吸収もよく、離乳食などに使われることもあります。
シャコ(4月~6月)
シャコ(蝦蛄)には二つの旬があり、一つがふんだんの卵を抱えたシャコは4月から6月が旬。卵巣を抱えたシャコをカツブシと言いますが、カツブシは甲殻類特有の豊かな甘みのある食感と、はちきれんばかりの卵の旨みを楽しめます。
蝦蛄は江戸時代には東京湾でもよく獲れて安価で買いやいため、庶民に人気がありました。茹でると海老のように赤くならず紫色になり、煮ツメを塗って食べます。卵の旨みを味わえる春の蝦蛄もいいですが、晩秋の脱皮前の蝦蛄もたっぷりと身がつき、濃厚な甘みと香りが楽しめます。
春と秋の蝦蛄の味を食べ比べてみるのもいいかもしれませんね。
ホタルイカ(3月~6月)
ホタルイカの産地である富山湾では、3月から6月にかけて産卵を前にしたホタルイカの大群が現れます。春の夜、沿岸に近づいたホタルイカの群れによって海が青白く光る様子はなんとも幻想的です。
鮮度が落ちるのがとても早く、茹でて提供されることが多いホタルイカですが、旬のホタルイカは柔らかで濃厚な旨みや甘みを生で味わうことができます。丸ごと食べられるため、イカならではの弾力のある歯ごたえも楽しみ、コクのあるミソを一緒に味わうことができます。
アオリイカ(3月~8月)
イカの王様と呼ばれているアオリイカ。「あおり」は馬具の泥よけ用の布のことで、形があおりに似ているところからこの名前がつきました。
イカ類の中で最も大きく、泳いでいる姿が水のように透き通っているため「ミズイカ」と呼ばれることも。半透明の身は、肉厚で独特な歯ごたえがあります。とろけるような甘みが特徴的です。
ハマグリ(3月~5月)
蛤の旬は春先から夏場にかけて。肉厚な大きいものが貴重とされています。日本では蛤を生で食べる習慣はなく、煮てから食べるのが一般的です。蛤を煮て握った寿司は、江戸前寿司独自の技として伝承されてきました。
剥いた貝に熱湯を通して開き、蛤の煮汁で作った汁に漬け込みます。味が染みこんだら寿司として握り、最後に穴子の煮汁で作った甘辛い煮ツメなどを塗って食べることが多いです。何とも言えない弾力と甘さが魅力になっていますね。
アオヤギ(1月~5月)
冬から春にかけてが旬で、正式名称は「馬珂貝(ばかがい)」。アオヤギ(青柳)は俗名で、今の千葉県市原市にあった上総国青柳村で獲れていたことからこの名がつきました。
柔らかくて優しい歯ごたえに特徴があり、独特な香りと甘みが大きな魅力です。大小で対になっている貝柱は小柱と呼ばれて珍重され、軍艦巻きの寿司ネタにもなっています。
淡白でサッパリした寿司ネタで春を味わおう
春が旬を迎える寿司ネタは、白身魚や脂が少ないもの、貝類が多いえです。ほんのり苦みを感じるものから、薫り高い甘みを味わえるネタもあり、それぞれに春らしい味わいがあると言えるでしょう。
一年中食べられるネタも時期によって楽しみ方が異なります。春ならではの味をぜひ楽しんでくださいね。